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困難を抱えた女性と子どもたちが「ここにしか住めない」ではなく、「ここに住みたい」と思える住まいを!

六甲ウィメンズハウス(兵庫県神戸市)

IKEA神戸

パブリックエリアからプライベートエリアまで 気持ちが軽やかになれる空間づくり

六甲ウィメンズハウスは、さまざまな困難を抱えた女性と子どもが孤立せずに安心して暮らすことができ、さらに自立するまでを支援するため、今年6月にオープンしました。建物には、タイプ違いの40の居室のほか、ロビーやコミュニティカフェ、キッズスペースや学習室、シェアオフィスなども揃います。
今回、IKEA Family募金では、社会的・経済的に困難な状況にある、またその危機にさらされている女性やシングルマザーとその子どもたちが、安心して暮らせる空間づくりをサポートするため、六甲ウィメンズハウスのパブリックエリアやプライベートエリアなどの空間プランニングから商品提供、商品の組み立てを行いました。

プライバシーを確保しつつ開放的なロビー

入居者の方だけではなく、近隣の方々にとっても、玄関口となるロビーは、温かく迎えられるウェルカムな空間にするために、黄色やブルーなど明るいカラーの家具を使用し、グリーンを置くことで、空間がより明るくなるよう工夫しました。プライバシーを確保しつつ、気軽に座っておしゃべりができるような空間となりました。

⼦どもたちが⾃由に遊べるキッズスペース

入館してすぐあるのが、子どもたちが自由に過ごせるキッズスペースです。瀬戸内海と六甲山に挟まれた神戸をイメージして海の青、山の緑をメインカラーにコーディネートしました。レイアウトは、乳児から小学生までそれぞれの年齢層ごとにゾーン分けしています。お母さんや大人の目が行き届きやすい手前側は乳児ゾーンとして、クッション性のあるマットを全面に敷き、ハイハイがしやすいようにしています。
その奥の幼児ゾーンとはベンチも兼ねた収納で分け、保護者の方が両側のゾーンを見守ることができ、下にはおもちゃや絵本を収納できるよう工夫しました。幼児ゾーンは、座って工作や絵本を読んだりできるスペースとなっています。中央の収納付きテーブルは、テーブルトップのふたの下におもちゃや文具を収納することができます。小学生は、壁際に設置したデスクに座って宿題をしたり、本を読んだりして過ごせます。

居住者だけでなく地域の⼈とも交流できるコミュニティカフェ

コミュニティカフェは、居住者だけではなく、周辺にお住まいの地域の人とも交流できる場所です。ここでのプランは、温かい木目の素材を使った家具をベースに、木の葉のようなグリーンをアクセントカラーとして、自然を感じられる憩いの場をイメージしました。
優しいペールカラーのシェルフなどを組み合わせて、グリーンやアートを飾ることで殺風景な壁に表情をつけ、居心地の良い空間になるよう工夫しています。また居住者の皆さんがご飯をつくって一緒に食べたり、レンタルキッチンとしても使用できるよう、大きな作業台を2台配置しました。家具は移動ができるので、勉強会やイベントなどの開催も可能です。入り口横の壁際にひとり席を設けて、本を読んだり、静かに過ごせるような場所もつくりました。

シングルルーム

コンパクトなシングルルームは、単身女性が落ち着いて快適に過ごせる空間をイメージしながら、やさしい色目でコーディネートしました。ベッドは、ソファ、シングルベッド、ダブルベッド、収納の1台4役で使用できるデイベッドを選択しました。下の収納には、クローゼットに入りきらない洋服や寝具などの収納に便利です。

シングルマザーと幼児の部屋

シングルマザーと幼児が安心して快適に過ごせる空間をイメージし、なるべく圧迫感がないよう、シンプルで機能的な家具を選んでいます。例えば、ダイニングテーブルは、女性ひとりでも簡単に引き出すことができる伸長式テーブルをセレクトしています。ベッドの下には収納用の引き出しが3つ付いているので、お母さんと子どもたちそれぞれのものを分けて収納することができます。

シングルマザーと⼦ども2⼈(⼩学校低学年/⾼学年)の部屋

ソファベッドと伸長式ベッドを使用し、親子3人がそれぞれのシチュエーションで寝る場所を選択できるようにしました。

勉強するところは、ダイニングエリアのデスクに向かって集中するもいいですし、ダイニングテーブルで家族そろって勉強することもできます。ワゴンに勉強道具を入れておけば、キャスター付きなので好きな場所に移動することも簡単です。
高学年のお子さんは、手前の伸長式ベッドを自分のサイズで調整して使用することができます。学校で使う教科書や絵の具などの文具は、伸長式ベッドの横に配置したキャビネットに収納できます。お部屋をすっきり、きれいに保てるよう工夫しました。
小学校低学年でお母さんと一緒に寝たい場合は、ダブルサイズのソファベッドを使用。ソファベッドは普段はソファの状態にし、リビングのスペースを確保しました。

シングルマザーと4⼈の⼦ども(⼩学校低学年、年少)たちの部屋

一番広いお部屋で、シングルマザーと4人の子ども(小学校低学年、年少)たちの部屋です。まず、ダイニング、リビング、寝室、勉強スペースと大きく4つのゾーンに分けました。

ダイニング横の壁には、有孔ボードとハンギングオーガナイザーを取り付け、日々の連絡事項や、学校からの通知などのプリント類、鍵や郵便物の収納として使用すれば、家族のコミュニケーションもスムーズになると考えました。
勉強スペースは、窓辺に2ゾーン分けにし、上の年齢の子どもたちと下の年齢の子どもたち2人が並んで勉強できるようにしました。デスクの近くには、4人の子どもたちの身支度セットが収納できるキャビネットを設置して効率的な動線になるよう工夫し、また扉の色を互い違いに配置したり、ラグやチェアなどもカラフルなものを選択して、お部屋の楽しさを演出しています。
ベッドは、お母さんと年少の子どもが一緒に寝て、小学生の3人は2段ベッドにアンダーベッドをつけ、寝るときだけ出して使うようにすると省スペースになります。

居住者のための学習室

居住者が静かに勉強できる場所、またはグループで勉強会ができる場所として使用するため、デスクにはキャスターがついており、レイアウトを自由に変えられるようにしています。

ビジネスにも対応するシェアオフィス

起業したいけれど、オフィスを確保する資金がない女性や、スキルを持っているけれど、子どもがまだ小さくて働きに出られない人が使うスペースを想定しています。パーテーションで仕切っていますが、パーテーションは可動式なのでスペースを自由に変えることができます。

プロジェクトメンバー

六甲ウィメンズハウス運営協議会 認定NPO法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ代表 正井禮子さん

長年女性と子どもの支援を行ってきましたが、いつも苦労するのは住まいの確保でした。2010年に居住福祉の視察にデンマークに行き、そこで女性と子どものための家を見学し、すてきな内装、木の香りのする北欧家具に魅せられ、日本でもこのような家をつくりたいと強く思いました。

あれから14年、建物が完成し、さらにイケア様のご支援を頂くことで、快適で温かみのある家をつくりたいという夢が実現しました。貧困+孤立+子育ては児童虐待のハイリスクと言われ、シングルマザーへの優良な住まいの提供や、多様な人々との暮らしは、女性の社会的自立のみならず、子どもの心身の健やかな成長に大きな影響を与えます。

また、住まいの提供だけでなく、就労や学習支援、母子ともに心の回復支援、仲間づくりや地域との連携にも力を入れていきます。ご支援に心より感謝申し上げます。

IKEA for Business Interior Designer 山下裕美

イケアは、「快適な暮らしが人生をより豊かにする」と考えています。 私たちはホームファニッシングカンパニーとして、人々が安心して過ごせる家にアクセスできるよう支援活動を行っています。

IKEA for Business Interior Designer 佐藤加寿子

利用者の皆さんが毎日を明るい気分で暮らせるよう、温かみのある色目や素材の家具を使って空間をつくりました。ここで、安心しながら、楽しい時間を過ごしていただければ嬉しいです。

プロジェクトを通じて地域に貢献

今回のプロジェクトは、IKEA神戸のコワーカーたちによって進められました。店内での呼びかけに多くの応募者があり、そのなかから選ばれた21名が、商品の搬入や組み立てを行いました。

IKEA神戸
マーケットマネジャー 足立知巳

イケアは、さまざまな支援活動を通じて地元コミュニティに対し、ポジティブな影響を与える事を目指しています。今回は、イケアのお客さまからの支援によるIKEA Family募金の活動を通じて、六甲ウィメンズハウスの立ち上げを支援することができました。このハウスを住まいとする貧困や社会的排除を経験している女性たちに、より快適で使いやすいホームファニッシングソリューションを提供する事で少しでも貢献できたらと思います。

IKEA Family 募金について

お買物の際に、IKEA FamilyのIDをご呈示いただくと、1回につきイケア・ジャパンが10円を積立て、店舗のある地域で必要とされる支援を行います。これまでのIKEA Family子ども募金は、広く子どもたちを支援する内容でしたが、新しいIKEA Family募金では、貧困や社会的排除を経験している(またはその恐れがある)18歳までの子どもたちが対象となります。例えば、相対的貧困に直面している、性的マイノリティ(LGBT+を含む)である、障害を持つ慢性疾患を抱えている、虐待されている等です。IKEA Family募金では、このような対象者を支援する為、地域社会に「Home」と呼ばれる場所を増やすために、商品提供や商品の組立てを行い、より多くの方々に快適な暮らしを実現します。