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安全で楽しい時間を過ごせる部屋づくり

神戸市立医療センター中央市民病院

IKEA神戸

神戸市立医療センター中央市民病院は、30を超える診療科を持つ神戸市域の基幹病院です。救命救急センターとしても、24時間365日体制で救急医療を提供しています。
今回のIKEA Family子ども募金では、小児病棟にあるプレイルームと学習室、処置室の3カ所をプランニングさせていただきました。ここで病気や怪我と闘いながら、入院している子どもたちが少し でも安心して心地よく過ごせるようにとの思いを込めました。 

プレイルーム

安全面を第一に、気持ちが明るくなれる空間に

プレイルームは、入院している子どもたちが、自由時間になると遊びにやって来る場所です。病気や怪我をしている子どもたちが遊ぶ場所ですので、プランに取り掛かる前に、最も注意した点が安全面です。そのため、病院側と何度もお話しさせていただきました。床にものが散らばっていると、つまずいて転倒する恐れがあります。また、効率的に収納することで遊べるスペースを広く確保したいとも考えました。 
これまで、玩具や学習道具などは、ワゴンに収納するなどしていましたが、物が増えるとその都度、病院にあった収納棚などを利用していたので、あまり統一感がありませんでした。そこで、壁に沿って収納棚を設置し、棚の高さと幅に合ったボックスをセットしました。前面のメッシュ部分から中身が確認できるので、遊びたい玩具を子どもたちが自分で見つけられます。部屋の中央に置いたテーブルでは、お絵描きをしたりパズルをしたり。アクティビティーテーブルの天板の縁には、凸枠があり、小さなパズルのピースが下に落ちにくくなっています。また、子どもたちの描いた絵などの作品が飾れるよう、飾り棚や有孔ボードを設置しました。ボードには、挟んだりぶら下げたり、絵や玩具などあらゆるタイプの物を飾ることができます。みんなで音楽を聴くとき、CDプレイヤーを床に置いて使用していましたが、壁掛けタイプのスピーカーを設置することで、床に置く必要がなくなりました。そして何より、ここが楽しい場所で、辛い病気のことを一瞬でも忘れられるよう、明るく爽やかな色使いで広々とした空間に感じてもらえるように工夫しました。 

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白を基調とした配色は、自然光が差し込む空間を広々と感じさせてくれます。効率的に収納することで、床にものを置くことがなく、安全に部屋内を移動できるようになりました。子どもたちは、ここで毎日ラジオ体操をするんだとか。 

収納棚

壁際に設置した収納棚には、棚の高さと幅に合った収納ボックスを置きました。ボックスの手前がメッシュ素材なので、中に何が入っているかすぐにわかります。ウォールシェルフも設置し、子どもたちのお絵かき作品を飾ったり、ぬいぐるみなどを置けるように工夫しました。 

アクティビティーテーブル

アクティビティーテーブルは、テーブルトップの縁が少し高く、物が下に落ちにくくなっています。また収納付きなので、レゴ等で遊んだ後は、そのまま引き出しに片づけられます。 

テラスガーデン

入院中の子どもたちが、アウトドアで楽しく過ごせるよう、プレイルームに続くテラスガーデンには、子ども用ピクニックテーブルとパラソルを設置しました。 

学習室

子どもたちも大人たちにとっても便利で快適な部屋

学習室は主に高学年の子どもが利用しますが、学習以外にも退院後の学校生活に向けた準備を行う部屋としても使用します。また、保護者への治療の説明や看護スタッフのミーティングスペースとしても使われています。 
ここに置かれていた机は小学校の机で、大きさも高さもバラバラでした。そこでまず、電動で昇降するタイプの机を2台設置しました。そうすることで、子どもでも大人でも、さらに車椅子を使用している人でも、利用する人に合わせて高さを自由に調整することができます。収納については、地域の学校から寄付された本や楽器、玩具などが効率的に整理されていませんでしたので、たくさんのものをまとめて収納できるよう収納付きベンチを選びました。ベンチ型にすることで、子どもたちがここに座って本を読むこともできますし、大人でもゆっくりくつろいでいただけます。ベンチの下の収納スペースはボリュームがあるので、クッションやラグ、大きな楽器などを収納することができます。扉付きの収納棚には、子どもたちが読む本や病院スタッフの資料などを収納できます。扉付きにしたことで、治療の説明を受けている際に気が散らず、集中して過ごせるようになります。 

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部屋中央に電動昇降デスクをおき、壁に沿って設置した収納付きベンチでは、子どもたちがここに座って学習をしたり、絵本などをゆっくり読んでもらえます。

電動昇降デスク

電動昇降デスクは、この部屋で勉強する子どもたちや、ここで打ち合わせする病院スタッフの身長に合わせて自由に高さを変えられます。

収納付きベンチ

収納付きベンチには、大型の引き出しがあり、ここに普段使っていないものをいつでも取り出せるようストックしておけます。 

ラップトップスタンド

ベンチでも学習できるように、ラップトップスタンドを用意しました。高さや上部の傾斜も調整でき、軽いので持ち運ぶこともできます。使わないときは、折りたたんでベンチの横にまとめて保管できます。 

処置室

辛い時間が続いても、飽きずに安心して過ごせる空間 

処置室は、子どもたちが治療や検査のため、採血や点滴をする場所です。そのため、辛い時間が長く続いても、飽きずに安心して過ごせる空間になるよう考えました。退屈な時間を過ごすための絵本や玩具は、カラフルな収納ボックスに整理します。ボックスには、ナチュラル素材でできたバスケットを置いて、ぬいぐるみなどの玩具をまとめて収納できるようにしました。診察台にはぬいぐるみを置き、横になっている子どもに見えるよう、天井からモビールを吊るしました。モビールがクルクル廻ったり揺れたりすると、楽しい気持ちになれそうです。部屋を暗くして処置することがあるので、その時に落ち着けるよう、ナイトライトも設置しました。かわいい姿の動物ライトは5色の好きな色に変えることができます。 

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痛い、怖いというイメージの処置室は、パッと明るく楽しい雰囲気に。辛い治療の時間も落ち着いて過ごせそうです。 

収納バッグ

収納ボックスには、綿100%の素材を編んでつくった収納バッグを設置し、その中に玩具やお絵かき道具などをまとめて収納できるようにしました。 

LEDナイトライト

クマやネコのLEDナイトライトは、頭を軽く押すとランプのオンとオフができ、レッド、イエロー、オレンジ、グリーン、ホワイト5色の光を切り替えることができます。

人物紹介

看護師長(取材当時):丸山浩枝さん

今回、IKEA Family子ども募金のプロジェクトには、病気や怪我に対して恐れや痛みを感じながら過ごしている子どもたちが、さらに頑張ってくれたり、嫌な気持ちをうまく発散できるような空間になればいいと思い応募させていただきました。プランの打ち合わせでは、私たちが問題提起したことに対して、NOとは言わず、逆に「あんなこともできる」、「こんなこともできる」と、どんどん提案していただきました。 
私たちは看護ケアという立場で仕事していますが、「子どもたちのため」という同じ気持ちで取り組んでいただいたのが印象的でした。私も一緒にプランニングさせていただいたのですが、最初のプランからできあがるまで、自分自身もずっとワクワクしていました。  

ここで療養している子どもたちが、毎日、笑顔で過ごせて、希望を持って治療に挑むことができる。そういう環境をつくりたいと、私たちスタッフはいつも思っています。その思いを助けていただいたということで、このプロジェクトには本当に感謝しています。できあがった部屋は、色使いが可愛らしく、子どもたちの気分も上がりそうです。おもちゃもたくさんご提供いただきました。自由に遊ぶことがきっかけで、気持ちが和んで、頑張って薬も飲んでみようかなと思ってもらえそう。テラスもアレンジしていただき、キッズガーデンができました。ほかの病院ではなかなかないことなので、ちょっと自慢したいなと密かに思っています。

保育士:野中まゆみさん

プロジェクトのプランニングを担当した、IKEA for BusinessのYumiさん