大人数で暮らす空間を、どう変えていけるか
社会福祉法人博愛社児童養護施設ヨルダン館
IKEA鶴浜
社会福祉法人博愛社は、保護者のいない、また養護の必要のある児童を入所させ、自立支援を目的とする施設です。今回、支援活動の対象となったのは、施設内で一番築年数の古いヨルダン館のワンフロアです。
各フロア10名前後の子供たちが集団で生活していますが、一番の悩みは「収納」ということでした。キッチンを含むリビングダイニングが、食事、勉強などメインの生活の場ですが、共有のモノ、個人のモノがあふれ、空間を埋め尽くし、動線も悪くなっている状態でした。
キッチンもかなり古いタイプのもので、職員の方の使い勝手もあまりよくないようでした。イケアの支援は、単に商品を送るだけでなく、快適に過ごせる空間の提案も行うところがポイントです。今回のIKEA鶴浜のプロジェクトは「使いやすいキッチンを提供する」という一貫したテーマのもとで進められました。子供たちの笑顔の源は食事、そして、その食事を支えるのはキッチンだからです。ヨルダン館ではキッチンを入れ替えることになりましたが、ダイニングテーブルやこたつなど、長く使われて愛着のある家具は残したまま、全体のコーディネートプランを始めました。
コワーカー総動員で、搬入から組立てまで
ここで少し、この支援活動における全店舗共通の作業工程についてご紹介しておきましょう。まずは施設の皆さんの現状を視察し、不満や困っていること、要望をヒヤリングし、インテリアデザイナーとともにプランをつくり、提案をします。そして、不要な家具の撤去や新しい家具の配送、搬入、組立て、設置をイケアのコワーカーが行います。店舗での仕事のかたわら、シフトを組んで交代で作業に参加します。
今回のプロジェクトは大掛かりでしたので、撤去から完成まで4日間、子供たちが学校から帰ってくるまでの時間を利用して、総勢35名が参加して作業を行いました。事前の打ち合わせや、商品リストの作成、発注、取り置き、管理などを含めると60名以上のコワーカーが関わったことになります。
収納の問題を解消する新空間の提案
キッチンの入れ替えから始まった、今回のリニューアル。既存のキッチンはかなり古いタイプで、ワークトップの高さが低く、職員の方の「腰が痛くなる」という悩みを解消するべく、イケアの新しいキッチンシリーズMETOD/メトードを導入することにしました。
子供たちの水筒は15本以上もあり、それまでは棚などに無造作に置かれていましたが、IVAR/イーヴァル シリーズのワインラックがこの収納にぴったりでした。食器棚には、収納力に優れたMETOD/メトードを使用しました。大人数の食器を入れてもまだまだスペースがあり、しっかりと「隠す収納」を実現できました。
子供たちそれぞれのお菓子入れは、以前は場所を取る棚を使用していましたが、STICKAT/スティッカートの壁掛けバスケットをフックに掛けることで、空間を最大限に活用できるようになりました。カラフルなバスケットは子供たちにも評判がよく、それぞれに自分の名前のタグをつけて、大喜びで使用していました。
今回、ホワイトの家具を多く使ったことで、限られたスペースにありがちな圧迫感を軽減することができました。ホワイトだけだと少し冷たい印象になってしまうので、無垢材や明るい色の小物を取り入れ、テキスタイルなどの面積の広い雑貨には淡い色合いを使用して、子供らしく、温もりの感じられる空間を演出しました。