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新生児にも対応できるお部屋の空間プランニング

社会福祉法人 神戸少年の町

IKEA神戸

神戸市垂水区にある、社会福祉法人神戸少年の町は、「いつも子どもを中心にひとりひとりを大切に」の理念のもと、1948(昭和23)年に創設されました。以来、少人数による親密な人間関係のなかで、0歳児から高校生までの子どもたちを養育する施設として運営されています。今回、IKEA神戸は、0歳児から4歳児までが暮らす、神戸少年の町乳児院のプレイルームの空間づくりを支援させていただきました。

スペースを多目的に使用するための工夫

施設のエントランス部分に、プレイルームと呼ばれるスペースがあります。ここで暮らす子どもたちが遊ぶスペースなのですが、おもちゃ以外に収納ボックスや大きめのベンチが置かれていて、遊ぶスペースが充分ではありませんでした。そこで、「より広く、より有 効に使っていくにはどうしたらいいか?」というご相談をいただきました。子どもたちが遊ぶほか、ここでは、食事をしたり、みんなのお誕生会もします。なので、可動式の家具を導入することにしました。そして何より、0歳の赤ちゃんも一緒に過ごすスペース。衛生面、安全面にも気をつけながら、プランしました。

取り出しやすく、片付けやすく

戸棚の右側には、透明ボックスを置いて、電車のおもちゃや木の積み木を収納しました。どちらも透明なので、収納しているものが一目でわかります。その下のボックスは2段に重ねていますが、フタが手前に開くので簡単に収納したり、取り出せるのが便利。左側のボックスにもおもちゃを収納しています。遊んだ後、子どもたちが楽しく片付けられるよう、カラフルなものを選びました。

収納しているものを一目でわかるように

施設では、職員の皆さんがパネルシアターと呼ぶ、紙でつくる劇を上演しています。「三びきのこぶた」や「赤ずきんちゃん」、「おむすびころりん」など、紙でつくったキャラクターが登場するそうです。以前は、プログラムごと紙封筒に入れて整理していたのですが、すぐに取り出すことができなかったとお伺いしたので、マガジンフォルダーに収納して、劇のタイトルが一目でわかるように工夫しました。

毎日の暮らしが楽しくなる工夫

七夕やクリスマスなど、季節ごとのイベントでは、子どもたちがつくった切り絵や絵などの作品を、壁にビス留めしたアクリルボードに掲出していました。使う のはそのときだけだったそうなので、普段も使えるようにできないかと思い、ペグボードを設置しました。ペン立てにもなるアクセサリーを取り付ければ、いつでもお絵かきを楽しんでもらえます。ボード横には、雲をイメージしたキャノピーを取り付けました。子どもたちが、すこしでも物語の世界をイメージして くれればと思います。

おとなと子どもが一緒に過ごせる場所

エントランス前には、施設を訪れる家族の面会場所として待合スペースがあり、家族が面会している間、子どもたちを遊ばせておくスペースにもなっています。ここでは、プライバシーを考慮して、ルームディバイダーを手前に置き、ゆっくりお話しいただけるよう、ソファをフロアに設置しました。ベビーベッドや子ども用ベッドを置くス ペースはなかったので、座面の奥行きが深いソファであれば、赤ちゃんや小さな子どもを寝かせつけることができます。床には、目の詰まった厚手のパイルラグを敷きました。子ども用イージーチェアは丈夫で軽く、汚れをすぐに拭き取れます。部屋の奥には、子どもたちが自分で上着を掛けられるよう、低い位置にもコートフックが付いているコートハンガーを置きました。棚の下には、キャスターの付いたワゴンを置き、ハンガーや木のおもちゃ、お絵かき用の紙を収納しました。コンパクトなので場所をとらず、移動も簡単です。収納ボックスには、フェルトペンを収納しました。おとなたちがお話ししている間、お絵かき用ロール紙を引っ張り出して、自由に遊んでもらえたら嬉しいです。

子どもたちの満面の笑みが嬉しかった

今回のプロジェクトの舞台は、0歳の赤ちゃんもいる乳児院でした。とくに気を使ったのは、衛生面と安全面。子どもたちの口に入る大きさの商品は選ばず、アルコール消毒に耐えられる商品を選びました。ラグやクッションカバーなども洗い替えができるものを選んでします。かなりの頻度で洗濯するということでしたので、耐久性にも気を配りました。選んだ商品はひとつずつ職員の方に確認を していただきながら、じっくりプランニングできたと思います。完成時には、子どもたち、職員の皆さんと一緒に3時のおやつをいただき、感謝状もいただきました。みんな満面の笑みをお顔に浮かべながら喜んでいただけたのが、たいへん印象的でした。