ホテル・民泊レイアウト事例集 : 蔵迫温泉さくら(株式会社宮下観光)様
和と北欧インテリアが融合した「ジャパンディスタイル」が心地良いコテージ


老朽化と新規の客層開拓が課題
熊本県の標高約800mの山間部、南側に久重連山、東側に阿蘇の山々を見渡せる絶好のロケーションに蔵迫温泉さくらはあります。約3000坪の敷地にオートキャンプ場とコテージをオープンして16年、そろそろ老朽化も気になってきたところに、コロナ禍の外出制限や自粛などで国内外の来客が激減し、解決策を考えていたそうです。常連のお客様からの寝室やキッチンへの要望などもあり、昨年2021年の12月に、コテージの1棟「もみじ」をリフォームするプロジェクトが立ち上がりました。IKEA for Businessを利用し、イケアの家具で一新。22年7月にリニューアルオープンしました。このプロジェクトを率いる、(株)宮下観光の事業本部長でありD-Grab Inc.の宮川慎一郎さんにお話を伺いました。
蔵迫温泉さくらは、阿蘇の雄大な自然の中にあるロケーションで、6棟あるコテージは源泉掛け流しの露天風呂と内湯が楽しめるということで人気の施設です。ターゲットはファミリー、ご夫婦、学生・社会人グループ、そして外国人観光客。リピーターも多く訪れていました。それが、コロナ禍以降、宿泊客が激減してしまいます。
「16年経って、老朽化の問題、競合施設との差別化ができていないことなど、この機会に改善が必要だなと思いました」と、宮川さんは語ります。
「良く言えば『レトロで家庭的』な家具やインテリアだけれど、自宅感が否めないというのが弱点だと思いました。コロナ禍を経て、旅先には日常から離れた特別感が必要だなと強く思うようになったのです。豊かな自然に囲まれ、温泉付きという最高のロケーションをもっと楽しんでもらうためにも、リニューアルは必然でしたね。お客様からの、布団ではなくベッドを希望される声、キッチンを充実させてほしいなどの声にも応えたいなと思っていたところでした」。
蔵迫温泉さくらのコテージは6棟あり、うち4棟は完全独立の一戸建てです。共用の温泉があり、各棟には源泉かけ流しの内湯もついています。6棟のうち、専用のヒノキ内湯と石造りの露天風呂を備えた人気の「もみじ」をリニューアルすることにしました。
「今回のリフォームのイメージは、和と北欧の融合、ジャパンディ(Japandi=Japanese<日本の要素>とScandinavian<北欧の要素>をミックスしたインテリアスタイル)な空間でした。北欧インテリアといえばイケア。イケアの家具でコーディネートすることは最初から決めていたんです。僕自身もイケアの家具は好きでよく使っていたので、迷いはなかったですね」と宮川さん。
2022年1月にIKEA福岡新宮でIKEA for Businessに登録し、プロジェクトはスタートしました。
リビングは開放的で落ち着ける雰囲気に
リビングは8畳ほどの広さで、以前は畳に和風のテーブルやこたつを置いたレトロな空間でした。
リニューアルでは、ログハウス風のウッディな空間を引き立てるシンプルでナチュラルな手織りのラグを敷き、座り心地の良いソファLANDSKRONA/ランズクローナと、コーヒーテーブルを置きました。クッションやフープも置いて、自由にくつろげるようになっています。照明はガラスシェードのFLUGBO/フルーグボーのシャンデリアと、布シェードのÅRSTID/オースティード フロアランプを組み合わせ、優しい光が部屋全体を包むように計算されています。宿泊のお客様に、「特別感」と「くつろぎ感」の両方を感じてもらえるインテリアになりました。
「イケアの製品は、自然素材が多く、温かみがあるので和風との相性もいい。ナチュラルなだけでなく、洗練されているのがポイントだと思います。家具だけでなく、壁に飾るフレームや、小物も充実しているので、いろいろな組み合わせが楽しめますね」と宮川さんは話します。リビングの壁の写真とフレームは、宮川さん自身がストアで見て「これ!」と決めたそう。
「イケアのストアは、たくさんのコーディネートの実例が見られるのがいいですね。1回目の打ち合わせから話が弾んで、とても楽しかったのを覚えています。その後はメールでプランをやりとりして、正味3ヶ月でしょうか。2回目にストアに行ったのはオープン前の6月でした。そこで小物なども揃えました」。
第一印象となるキッチンは、機能もデザインも兼ね備えた北欧スタイル
このコテージの玄関を開けて、一番先に目に飛び込んでくるのは実はキッチンです。リフォーム前は、ごく普通の日本の家庭用のキッチンが備えられていて、良くも悪くも「生活感」が漂っていました。コテージにはテラスがあり、バーベキューなどを楽しむこともできるので、キッチンは重要なスペースになります。
「食を楽しんでもらうためにも、キッチンの雰囲気や機能性は重要。コテージに入ってすぐで、第一印象になるので、常連のお客様には『変わったね、良くなったね』、初めてのお客様には、『おしゃれだし、料理が楽しめそう』と思ってもらえるようにしたかったのです」と宮川さん。
イケアのシステムキッチン、METOD/メトードを取り入れ、白を基調に、ワークトップはウォールナットの無垢材を組み合わせ、ナチュラルで居心地の良い雰囲気と、みんなで作業ができるような広々としたスペースを確保しています。
実際、リフォームが完成してコテージのスタッフが最初に扉を開けた時には、「わぁー!」という歓声が上がったそうです。宮川さんは、「僕も思わず声を出してしまいましたよ(笑)。そういう第一印象のトキメキって大切じゃないですか。それをお客様に感じてもらえたら大成功です」と話してくれました。
予定外にベッドルームを急遽増設することに
ロフトの約10畳の寝室は、常連のお客様の要望に応えて、4台のベッドを入れ、スポットライトの照明で落ち着ける雰囲気をつくりました。ベッドはスタッキングできるタイプを採用。掃除がとても楽になったそうです。
当初は、既存のリビングとロフトのリニューアルが終わったら、ゴールデンウィークにはオープンする予定でしたが、プランがほぼ決まった3月、蔵迫温泉のオーナーがプランを気に入り、リビングの隣に新たにもうひと部屋、ベッドルームを増設することになりました。
急遽決まった新プランに、宮川さんはとても悩んだそうです。
「集客が見込めるゴールデンウィークに間に合わせる予定で動いていましたが、増設するとなれば夏休み時期にも間に合わなくなってしまうと、かなり焦りました。でも、イケアのスタッフの方々の迅速な対応とプランニングのおかげで、7月オープンにすることができました。広々とした空間になり、お客様にも満足していただけ、結果的には増設してとてもよかったと思っています」。
ワードローブ収納やランプシェードは、ナチュラルな竹製の圧迫感のないデザインのものを採用。
IKEA for Business 福岡新宮のプランナーは、「ベッド2台、クローゼットを置くのに圧迫感がないように配慮しました。通常のイケアのコーディネートには、いくつかのスタイルグループがあるのですが、どこにも属さないミックスタイプになりました。竹素材を取り入れ、モダンとトラディショナルが共存した心地よい空間になったと思います」と話してくれました。
今後は、ワーケーションやグランピングなどにも対応していきたい
リニューアル後は、常連の方に加え、新規のお客様が増え、若い人も多くなったそうです。「稼働率が上がり、連泊のお客様も増えました。滞在しながら仕事をするワーケーションなど、新しい使い方をするお客様も増えたのが嬉しいですね」と宮川さんは語ります。
今後は、残りの5棟も順次リニューアルを検討し、「新しい滞在体験ができる施設にしたい」とプランを膨らませています。現在、新しくサウナも営業を開始し、好評なのだとか。キャンプ場を活用して、グランピングエリアを作ることも検討しているそうです。
「IKEA for Businessは、既存のスペースを大幅にイメージチェンジしたい、おしゃれで心地よい空間にしたい、という時に心強いパートナーになってくれます。スピーディーなのもいいですね。想像以上の空間ができあがって満足しています」。
DATA
施設名:蔵迫温泉さくら(株式会社宮下観光)
所在地:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺2849ー1
HP:https://kurasako-onsen.com
導入年月:2022年1月
導入に要した期間:約6カ月
IKEA for Businessを選んだ理由:和と北欧の融合を目指していたので、デザイン性、機能性を信頼していたイケアを選んだ。天然素材を多く取り入れているのが良い。IKEA for Businessは、専任スタッフによるプランニング、アドバイス、トータルなサービスと、短期間に仕上げてくれるのが良い。
担当したイケアストア:IKEA福岡新宮
使用したイケアのサービス:ビジネスインテリアデザインサービス、配送サービス、
※使用されている商品は記事掲載時期のもので、販売終了になっている商品が含まれる場合がありますのでご了承ください。