教育・福祉施設デザイン事例集:イケアの事業所内保育施設DAGIS(ダーギス)

IKEA for Business VOL.48

スウェーデンと日本の教育理念が融合した保育施設

DAGIS

イケアのデザイナーが
内装デザインを手がけてリニューアル

IKEA Tokyo-Bayは、2006年の店舗オープンと同時に事業所内保育所「IKEA 船橋ダーギス」を開所しています。DAGISとは、スウェーデン語で「保育園」という意味。店舗の5階にあるオフィスに隣接しており、0歳から6歳児までの乳幼児の保育所と、小学生を放課後に預かる学童保育的な役割も兼ね、現在約70名が登録しています。

DAGIS

DAGISとは、スウェーデン語で保育園を指す。店舗の営業時間に合わせて土日も開所している。

IKEA 船橋ダーギスの運営を行っているのが、日本の保育の現場で30年のキャリアを持つ株式会社ポピンズです。今回は、IKEA 船橋ダーギスの責任者である武田千晶さん、施設長である株式会社ポピンズの國吉友美さんにお話をうかがいました。武田さんはIKEA Tokyo-Bayのオープン時に入社し、お子さんをDAGISに預けて勤務した経験を持っています。

IKEA 船橋ダーギスは、オープンして10年の2017年秋に大幅なリニューアルをしました。カラフルなペイントで彩られた、明るい雰囲気が印象的です。内装のデザインはイケア社内のデザイナーが手がけています。

「今回のリニューアルでは、グリーンをキーカラーにしています。スウェーデンの森のイメージですね」と武田さん。鮮やかなグリーンで塗り分けられた壁や柱には、森の風景や動物たちが描かれ、楽しくワクワクするような空間になっています。

IKEA 船橋ダーギスの武田千晶さん(左)、施設長の株式
会社ポピンズの國吉友美さん。

玄関スペース。コルクの壁に森をイメージしたグリーンでロゴや樹木のイラストを。靴箱にしているのはシステ
ムキッチン用のキャビネット。METOD/メトード キャビネット。

玄関の子どもたちのレインコートのコーナー。晴れでも雨でも、子どもたちは元気に外に出かけて行く。近辺には公園も多い恵まれた環境。

玄関を入ってまず目に入るのは、子どもたちの小さなレインコートがかけられたラックです。「IKEA 船橋ダーギスでは、雨の日でもみんなで散歩に出かけます。晴れでも雨でも、それぞれに発見があるし、雨の日だからこそ感じられることもあります。子どもたちは自然観察が大好きです。雪の日はルーペを持って出かけ、雪の結晶を見たりするんですよ」と國吉先生。「なるべく自然と触れ合うのは、初代の施設長であったスウェーデン人の先生の方針ですが、北欧らしいすてきな考え方だと思います」。

靴箱は、子どもたちのスペースは扉をつけずオープンに、上部は扉をつけて大人用のスペースにと使い分けを。METOD/メトード キャビネット。

壁に描かれた樹の幹の部分は身長計になっていて、子どもたちの健やかな成長を願う心が込められている。

保育所の中央にある広々としたホールは、子どもたちが自由に遊ぶスペースです。フローリングが気持ち良く、収納を徹底して物が散らからない工夫がされています。

「今回のリニューアルでは、収納と動線を今まで以上に考慮しました。備品も年々増えるので、収納スペースを確保し、整理や出し入れがしやすいように工夫しています」と、武田さん。家具は取っ手がないものを選び、子どもがぶつかってけがなどをしないよう配慮しています。

扉のついたキャビネットには、先生方が管理するものを収納。おもちゃのほか、保育所のイベントなどの備品、避難用品などが入っている。

ホール。右手が収納スペースになっている。キッチン用の収納キャビネットを使用。METOD/メトード キャビネット。

子どもたちが自主的に片付けをできるような工夫も随所に見られます。「それぞれの物の収納場所を決め、出したら決められた場所に戻すということを習慣づけるようにしています。何をどこに入れるかわかりやすくするため、たとえば、引き出し型のボックスには入れる物の写真を貼るなどし、小さな子でもひと目でわかるようにしています。また、子どもたちの手が届く高さや位置を優先し、扉やふたなど、面倒なものはつけないことも大事ですね」。

子どもたちが大好きなおままごとコーナーと細々したおもちゃの収納ボックス。取り外して持ち運べるボックスをそのままはめこむフレキシブルな収納。

TROFAST/トロファスト 収納システム、DUKTIG/ドゥクティグ おままごと
キッチン。

大きなダンボールにイケアのファブリックを貼った手づくりのおもちゃケースには、ボールなどの玩具を。ぽんぽん放り込むように入れられる。

ぬいぐるみ類はメッシュのかごに。中身が見え、使わない時はおりたためるのも便利。KUSINER/クシーネル
メッシュバスケット。

子どもたちの持ち物のロッカーは、手が届く高さであることが重要。洋服ハンガーをかける部分は扉を外してオープンに。STUVA/ストゥヴァ 収納システム。

低い位置に配置したボックスには、中に入れるものの写真を貼っている。TROFAST/トロファスト 収納システム。

多様性を肌で理解し、
五感を育む独自の教育を実践

イケアのコワーカーは世界各国から集まっているので、子どもたちも多国籍です。子どもたちは小さな頃から「多様性」を肌で感じ、学んでいます。「個性の尊重や人権、それぞれの国の文化の違いを受け入れる寛容性を知らず知らずに身につけているようです」と國吉先生。保育所の方針として、自然に親しむこと、体験を大切にすること、自主性を尊重することなどを重視しており、「スウェーデンらしい教育方針を、ポピンズさんが日本に合うようにプログラムしてくれています」と武田さん。ミッドサマー(夏至祭)やザリガニ祭り、ルシア祭などスウェーデンらしい年間行事も組み込まれ、ユニークな多文化教育を実現しています。

ベビークラス(0〜1歳児の保育室)。扉付きの収納はシステムキッチン用のものを使用。ラグは厚手のパイル地の優しい感触のものを。METOD/メトード キャビネット、BIRKET/ビルケット ラグ。

2歳児クラス(2歳児の保育室)。子どもたちが扱いやすい収納を工夫。STUVA/ストゥヴァ 収納システム。
ÅDUM/オードゥム ラグ、CIRKUSTÄLT/スィルクステルト 子ども用テント。

ファミリールームと呼ばれる部屋は、小学生が宿題をしたり、ゲームをしたり、小学生がいないときには保護者と面談をしたりとフレキシブルに使われる。テーブルは軽量で動かしやすく、汚れの気にならないメラミン仕上げ。チェアはスタッキング可能。JANINGE/ヤニンゲ テーブル&チェア、KROKIG/クローキグ 洋服スタンド、KROKIG/クローキグ ウォールフック。

主な間取りは、職員のオフィス、調乳やおむつ替え用の小部屋、ベビークラス(0〜1歳児の保育室)、2歳児クラス(2歳児の保育室)と大きいクラス(3〜5歳児の保育室)、園庭、調理場、トイレなどがホールを囲むように配置されており、子どもたちの移動がとてもスムーズになっています。また室内だけでなく、ビルの屋上ながら広い園庭もあり、運動会が行われるほか、線路を走る電車を見渡したり、遊びに来る鳥を観察したりと、子どもたちが大好きな場所になっています。

「子どもたちの想像力や五感を育むことは、重要なテーマのひとつです。外で遊ぶこともそうですし、室内でもいろいろ感じることができるよう、色彩豊かな内装にしたり、照明にも気を使っているのもイケアさんらしいですね。食事やおやつも大切で、スウェーデン料理の日があれば、日本料理の日があったりと、日々のちょっとした体験の積み重ねが豊かな感性を育てるのではないかと考えています」と國吉先生は語ります。

清潔で機能的なキッチンでは給食やおやつの準備を。収納もたっぷりと使いやすい。METOD/メトード システムキッチン。

季節に合わせて、毎月異なるオーナメントを透明な容器に詰めていくユニークなカレンダー。FÖRVAR/フォルヴァール ふた付き容器(大)、BURKEN/ブルケン ふた付き容器(小)。

保育所の使用は珍しいペンダント型の照明。上部に光を拡散するグリッドがあるタイプなので、部屋全体を明るくする効果がある。NYMÅNE/ニーモーネ ペンダントランプ。

先生方のオフィス。中央の作業台は、収納を兼ねて立って作業ができるようにキッチンのキャビネットを導入。METOD/メトード キャビネット、NORSBORG/ノルスボリ ソファ、GALANT/ガッラント キャビネット引戸付き。

イケア・ジャパンでは、子育て支援を徹底しており、母親だけではなく父親も育児休暇を取得できる制度があります。また、フルタイム、時短勤務にかかわらず、すべてのコワーカーを正社員として扱っているので、働き方を選べ、さまざまな福利厚生が適用されます。IKEA Tokyo-Bayオープン時に入社し、DAGISにお子さんを預けていた武田さんは、「私もDAGISにずいぶんと助けられました。子どもの具合が悪くなった時も、すぐ様子を見に来ることができるなど、職場内に保育所があるメリットは大きいと思います」と語ります。取材の間も、お父さんがお迎えに来て、他の子どもたちと楽しげに接するシーンなどがあり、みなが協力し合って子育てをしていることを感じることができました。

2つめのDAGISが、

IKEA長久手にオープン

IKEA Tokyo-Bayに続く2つめのDAGISが、2017年10月にオープンした愛知県のIKEA長久手に併設されています。こちらは、株式会社ニチイ学館による運営です。新しい建物は窓が大きく、天井にも窓が付いているので、とても明るく開放的な雰囲気です。園庭には芝生が敷き詰められ、子どもたちは伸び伸びと遊ぶことができます。現在、0〜3才児の約30名が通所しており、朝は7:30分から、夜22:30まで開所。イケアのコワーカーの利用だけでなく、地域のお子様も受け入れしており、2月中旬より地域枠として1名が利用開始するなど、働くお父さんお母さんをサポートしています。

IKEA船橋ダーギスと同様に、スウェーデンの文化に触れる機会を季節の行事に取り込み、英会話やリトミックなどもカリキュラムに含まれています。先生たちは、イケアのテキスタイルを使用したエプロンを着用し、カラフルでおしゃれな印象です。

入り口の壁には、保育所名とダーラナホースが。

IKEA長久手敷地内にあり、新築のおしゃれな建物。緑も多い。

玄関スペースには、入所をお祝いするメッセージが。TROFAST/トロファスト 収納システム。

IKEA DAGISは、「世界で一番大切な子どもたちのために」というイケアの企業理念のもと、ユニークな教育を実践し、事業所内保育所、企業主導型保育事業のひとつのお手本として、さまざまな提案を投げかけています。

広く、明るい保育所内。イケアの家具やおもちゃが多数取り入れられ、子どもたちがのびのびと健やかに過ごせる環境づくりがされている。MÅLA/モーラ イーゼル、FLISA/フリサット おもちゃ収納 キャスター付き、STUVA/ストゥヴァ 収納ベンチ、HEMMAHOS/ヘマホース ソフトトイ, ペン、DUKTIG/ドゥクティグ おままごとキッチン、HEMMAHOS/ヘマホース 子供用テント、BUSA/ブーサ 子供用テント、BUSA/ブーサ プレイトンネル、FLISAT/フリサット 子供用デスク。


DATA

施設名: IKEA 船橋ダーギス
運営会社: 株式会社ポピンズ
所在地: IKEA Tokyo-Bay 千葉県船橋市浜町2丁目3-30
施設名: IKEA 長久手ダーギス
運営会社: 株式会社ニチイ学館
所在地: IKEA 長久手 愛知県長久手市公園西駅周辺土地区画整理事業地内1街区
IKEA Tokyo-Bay HP: http://www.IKEA.jp/tokyo-bay
IKEA長久手 HP: http://www.ikea.jp/nagakute
株式会社ポピンズ HP: https://www.poppins.co.jp
株式会社ニチイ学館 HP: http://www.nichiigakkan.co.jp/service/nursery/index.html

※使用されている商品は記事掲載時期のもので、販売終了になっている商品が含まれる場合がありますのでご了承ください。