ビジネス事例:もの作り企業の段階的オフィスリニューアル
事業継承に伴走し、時代にフィットする働き方へ
群馬県安中市に本社を構えるプラスチック成形メーカー・東邦工業株式会社。1960年の創業以来、長年にわたり培ってきた製造技術を強みとして事業を展開されてきました。
代表取締役の北村章剛(きたむらあきよし)さんは、事業承継をきっかけにオフィスの大胆なリニューアルを決行。空間の見直しを通じて「働き方や社内コミュニケーションのあり方を、現代的にアップデートする」という目的があったそうです。 約3年の月日をかけたプロジェクトは、まず食堂の改装からスタート。それから、オフィスや会議室などのリニューアルを次々と実施していった模様。従業員の皆さんの声を取り入れながら、徐々に進めた経緯、そして、その後に生まれた意外な変化について、じっくりとお話を伺いました。
イケアのデザインで、昔ながらのオフィス環境と働き方を一新
東邦工業は父が創業した会社で、事業承継にあたってはさまざまな悩みがありました。私は商社に勤めた後、地元に戻ってきて中途入社したのですが、昔ながらのオフィスの設計や従業員の働き方には、随分と驚きました。
まずは、紙の書類が多くて、処理方法も旧式。また、オフィスのレイアウトの影響でコミュニケーションが取りづらく、非効率な面も多く見られました。こうした雰囲気の中では、従業員も「言われたことをやればいい」という姿勢になりがちで、あまり積極性が感じられない状態でした。
2020年に経営を引き継ぐにあたり、時代に合った働き方に変えていきたかった。しかし、この状態が「当たり前」となっていたため、社員たちに理解してもらうのは簡単ではありませんでした。そこで、「イケアのデザインの力を借りて社内の雰囲気を変えよう」と考えたのです。
イケアを選んだ理由は、デザイン・機能・コストパフォーマンス
イケアに決めた理由は、デザイン性、機能性、コスト面からです。学生時代からイケアには馴染みがあり、「IKEA for Business」というサービスを知った時に「これだ!」と強く感じました。
今回は社内の雰囲気改善が目的だったため、まずデザイン性と機能性を重視しました。また、製造業は組織が流動的で、人員配置の変更も多いため、家具の買い増しや入れ替えが必要になります。そうした変化にも柔軟に対応できる価格帯も大きな魅力でした。
新しい時代の会社へ——事業承継をサポート
徳岡美里(IKEA for Business インテリアデザイナー):
北村社長のお話を伺う中で、「単に家具を入れ替えるだけのリニューアルではない」と受け止めました。「新しい時代の会社へと変わり、従業員の皆様にも変化を実感してほしい」。そんな想いを知り、少しでもお役に立ちたいと強く感じたことを覚えています。
世代交代を機に、会社も少しずつ変化していく。その流れをイケアの家具でしっかりとサポートする。決して社長の一存で一気に変えるのではなく、従業員の皆さんと足並みを揃えて取り組む。そうすれば、気持ちも徐々に変化し、業績向上にもつながっていくのではないか。そうした相乗効果を意識しながらプランニングを進めました。
家具の選定と空間づくり
初めて東邦工業様を訪れた時、家具や内装には使用による経年が感じられましたが、オフィスにも工場にもゴミ一つ落ちていないことに驚きました。整理整頓が徹底されているんです。
その半面、“整いすぎている”ことが、少し今の時代にフィットしていないとも感じました。そこで考えた方向性は、イケアの家具でやさしい雰囲気を加え、働く皆さんの気持ちが前向きになるような空間づくりです。北欧らしいやさしいカラーリングの家具や木目の家具、デザイン性のある照明などを選び、明るく開放感のあるゾーニングをご提案に盛り込みました。
リニューアルの進行
稼働中のオフィスを改装するため、業務に影響が出ないように進める。ここが一番の難関でした。ペーパーレス化を含むDX推進も課題の一つで、社長からは「収納は思い切って減らしたい」というお話もありましたが、従業員の皆さんの使い勝手を考慮しながら、適切なバランスを探りました。デザイン性を追求するのみならず、実際に使う方の視点に立ち、機能性の面でも満足いただけるご提案ができたと感じています。
リニューアルのポイント——コミュニケーションを円滑に
北村社長:
部署間のコミュニケーションには課題がありました。製造業では、メールや電話だけでなく、現物を見ながら対面で打ち合わせをする必要があります。しかし、技術担当者が営業のいるメインオフィスに来ても、カウンター越しでは話しづらく、そもそも足が向きにくい状況でした。また、他の場所でも同様の課題がありました。最初にリニューアルをした食堂は、長机とパイプ椅子という従来型のスタイルで、くつろげる空間ではなかったため「ゆっくり休憩できる空間にしたい」とお願いしました。
メインオフィス(営業部・総務部)
入り口すぐのメインオフィスは、壁ではなく家具の配置でゆるやかなゾーニングを試みました。来客対応もあるため、グリーンを取り入れ、明るい雰囲気づくりを心がけました。
生産管理・品質保証部オフィス
社外の人との打ち合わせも落ち着いてできる、明るい空間にしました。
食堂
その日の気分に合わせて過ごし方が選べるよう、シーンに合った家具を組み合わせ、空間をゾーニングをしました。
第一会議室 - 少人数でリラックスして話せる雰囲気づくりを意識
無機質になりがちな会議室に、明るさと彩りを添える小物をディスプレイしました。
第二会議室 - 既存の大型テーブルと調和を取りながらデザイン
ファブリックのチェアと書棚を追加し、温かみのある空間にしました。
第三会議室 - 20人ほどが入れる大型会議室は明るい印象に
スクエアに配置したデスクで機能性を確保しつつ、デザイン性のあるランプでアクセントをプラスしました。
応接室
お客様との打ち合わせでも使用するため、信頼関係を深めることができるように上質感のある家具をセレクト。
社長室
社長と対面する従業員の皆さんがリラックスできるように心がけました。オープンタイプのデスクや、柔らかい木目、デザインのある照明などを取り入れて、「重厚感」ではなく「開放感」のある空間に仕上げました。
ずっと働き続けたい——若手が心地良く過ごせる環境づくり
TOHO VIETNAM CO., LTD. Assistant General Director 金子竜己(かねこたつき)さん:
2022年に入社しておよそ半年後に、社長アシスタントの立場でメインオフィスのリニューアルに関わりました。北村社長自身が「若手からの意見をどんどん取り入れたい」と考えるタイプですから、私も遠慮せずに自分の希望を伝えました。若手の私が間に入ることで、他の従業員も意見を言いやすかった面があると思います。イケアの徳岡さんも若手の意見を汲み、細部までプランを考え、想像を上回る形にしてくれました。
人材の確保が難しくなる中、若い世代に「東邦工業なら働ける」「働き続けられる」と実感してもらえることがとても重要だと考えています。リニューアル後は、同僚も喜んでおり、オフィスのお洒落さが採用につながるケースも増えたので、本当に頑張って良かったです。
間近で見てきたからこそ分かるのですが、北村社長は「従業員が安心して働けて、その家族も幸せに暮らせること」をとても大切にしています。今回のリニューアルは社長の想いを形にしたような取り組みで、イケアさんもその意図を深く理解し、誰もが前向きに働ける環境を創り出してくれたと感じています。
新たなオフィスが会社の「顔」になる——採用にもプラスの効果
北村社長:
リニューアル後は、社内の雰囲気が大きく変わりましたね。全体的にコミュニケーションが取りやすくなり、部署間の行き来が活発化して業務がより円滑に進むようになりました。メインオフィスのカウンターを取り払ったことで、物理的にも心理的にも壁がなくなったことも大きいと思います。ハイテーブルも意図した通りに活用されています。
プラスチック成形メーカーでこのようなオフィスづくりをしている会社は珍しく、お客様にも驚かれます。「風通しが良く、いい雰囲気だ」と言っていただける。それを聞いた従業員が嬉しそうにしているのを見ると、思わず私も嬉しくなります。
食堂も良いですね。若い社員同士がランチを食べながら楽しそうにおしゃべりしていて、とても雰囲気が良くなったと実感しています。ただ食事をするだけの場ではなく、コミュニケーションの場にもなっていて、楽しくランチをしてしっかり休憩することで、午後の仕事にも前向きになれるようです。
リニューアル前は昼食時のみのオープンでしたが、現在はずっと開放しています。午後の休憩やお客様との打ち合わせにも活用できて、場の有効利用になっています。
採用活動においてもプラスの効果を感じています。就職先を検討している学生が複数社を見学した結果、当社を選んでくれるケースが増えました。製造業でこのようなオフィス環境を整えている企業はまだ少なく、これもリニューアルの効果だと考えています。
「働き方」「過ごし方」を想像し、より本質的な提案を
イケア徳岡:
イケアは、さまざまなタイプの家具や小物を幅広く取りそろえている点が強みで、それをどう活かすかがプランナーの腕の見せどころです。「オフィスだからオフィス用の家具だけを使う」のではなく、あらゆる商品を活用しながら最適なスタイルを提案していきます。今回は受付カウンターにキッチン用のカウンターを活用しました。収納が多く、パンフレットなども保管できるので使いやすく、カウンターに適しています。
イケアの家具で全体をデザインすることで、自然に統一感が生まれるのもメリットです。また、コスト面も魅力の一つで、どの商品も基本的にリーズナブルでありながら、その中にはより上質で価格帯が高めのラインもあります。お客様のご希望に応じて幅広い選択肢の中から提案できる点が、イケアの魅力ではないでしょうか。
今回のリニューアルは、食堂からスタートし、約3年をかけて段階的に進めてきました。食堂、応接室・会議室、1階の生産管理オフィス、そして最後にメインオフィスと社長室。実は、プロジェクトのスタート段階では社長と私の二人だけだったのですが、その後、若手社員の金子さんが加わり、徐々に関わる人数が増え、最終的に多くの方と一緒に創り上げていきました。
その過程において、北村社長がより多くの方の意見を吸い上げようと努力されていたのが印象的でした。もともと若手を積極的に登用されている会社だったので、イケアの家具と馴染みがあった点も良かったと思います。そして私も、「チーム東邦工業」の一員に加えていただけたことで、より前向きに取り組むことができました。何よりもこのチームワークこそが成功の要だったと感じています。今回は、チームワークのお陰で、「働き方」や「過ごし方」まで踏まえた、より本質的な提案ができたと自負しています。
オフィスが変わると、働き方も変わる——企業の将来を見据えて本質を捉えた提案を
「今後もずっとイケアに頼みたい」——事業拡大に伴走し、“新たな働き方”を創り出す
このリニューアルがきっかけとなり、社内にさまざまな変化が生まれました。従業員からの提案で、会社のロゴや制服、看板などもリニューアルし、この春(2026年4月)から新しくなります。オフィスのリニューアルを通して、従業員たちが変化に対して柔軟になり、むしろ「変わること」自体を楽しんでくれるようになりました。これは、会社にとって非常に大きな変化だと思います。私自身も「東邦工業で働いていることが誇り」だと思ってもらえるように、これからも努力を続けます。
今回のリニューアルに非常に満足したため、関連会社4社すべてにおいてIKEA for Businessを導入しました。今後も、M&Aによる事業拡大を見据えており、各社においてもぜひイケアさんにお願いしたいと考えています。IKEA for Businessを選ぶ理由は、デザインやコストなど多岐にわたりますが、何よりも会社の課題を踏まえ、将来に共に考えながら提案してくれた点に大きな価値があります。ここまで丁寧に、そして誠実に向き合ってくれた。だからこそ「今後もずっとイケアに頼みたい」と感じています。

リニューアルしたオフィスを動画でもご覧ください。
DATA
企業名・所在地:東邦工業株式会社 〒379-0136 群馬県安中市嶺1610
導入年月:2023年
導入に要した期間:約24か月
IKEA for Business を選んだ理由:デザイン、機能性、価格帯
担当したイケアストア:IKEA渋谷
使用したイケアのサービス:ビジネスインテリアデザインサービス、配送サービス、家具組立てサービス
※使用されている商品は記事掲載当時のものであり、販売が終了している商品が含まれる場合があります。