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オフィスデザイン・レイアウト事例集:渋谷区スタートアップ支援「Shibuya Startup Support」

アットホームな空間づくりで利用者数が飛躍的に増加。

工業的デザインの開放的な室内空間。自然光が差し込む窓と多様な席が協働や交流に最適

起業家のみなさんが「帰ってくる家」のような場所でありたいーそのような思いを込めて運営されているのは、渋谷区が実施しているスタートアップ支援「Shibuya Startup Support」の拠点です。こちらの拠点は、IKEA for Businessを利用してリニューアルを行ったことにより、利用者が一気に増加しました。

そこで、渋谷区グローバル拠点都市推進課の瀨野小枝子さんに、起業家への思いと共に、今回のリニューアルの経緯とその後の活用状況についてお話を伺いました。

〈Shibuya Startup Supportとは?〉
Shibuya Startup Supportはスタートアップ(新規事業を立ち上げる会社・個人)に取り組む起業家を支援する渋谷区の一連の取り組みの総称。スタートアップビザを発行し、国内のみならず海外からも起業家を呼び込み、国際的なスタートアップエコシステムの形成を目指しています。
来日した起業家のサポートも重要な業務の一環です。実証実験の調整、連携先の紹介、イベント開催や出展機会の創出などを支援するほか、国内で不動産を借りるとき、銀行口座を開設するとき…など、多様な場面できめこまやかなサポートを提供しています。

悩みの種は「伸びない利用者数」。理想の拠点づくりに向けて

渋谷区グローバル拠点都市推進課 瀨野小枝子さん:
今回リニューアルした渋谷区のスタートアップ支援事業「Shibuya Startup Support」の拠点は、スタートアップビザホルダーの方はもちろん、渋谷区で認定した日本のスタートアップ企業の方が使えるスペースです。
拠点を運営する上ではコミュニティの構築に重きを置いています。単なるコワーキングスペースではなく、人と人が繋がれる場所でありたいと考えているからです。

しかし、リニューアル前は利用者数が伸びないことが悩みの種でした。3階建てのビルを活用した広いスペースに椅子や机の数も揃っているのに、なぜか利用者が集まらない。拠点内にいるのはほとんどがスタッフのみ、という日もあったほどです。また、室内備品は区の施設で余っていた家具などを寄せ集めたため不揃いでしたし、広いセミナールームや素敵なルーフトップも活用できていませんでした。個人的に気になっていたのは1階のカウンターとキッチン周辺です。ゴミ箱などが丸見えになっており、雰囲気が雑然としていたのです。

3フロアにわたる広いスペースをリニューアル

平光洋子(IKEA渋谷/IKEA for Business インテリアデザイナー):
こちらの拠点は、飲食店を居抜き利用していたため、動線や使い心地に違和感が出てしまう場所でした。課題やご希望を伺い、リニューアルの方向性を「コミュニティの構築を重視し、人と人とのつながりをつくり、新たなビジネスを生み出すワークスペース」と定めました。また、さまざまな用途に対応する魅力的なエリアをつくり、活気あるスタートアップ拠点にふさわしいプランニングを心がけました。

具体的には、人がパッと集まれるような可動性のある家具を中心にセレクトしました。用途に応じて椅子を持ち寄ってコミュニティがつくれるイメージです。また、オフィストレンドでもある緑化にも意識的に取り組みました。視界にグリーンが入ることで、創造性が向上したりコミュニケーションが促進されたりするようです。
また、暗いスペースでは使われなくなるので、照明を明るくしました。スポット照明なども活用し、空間が広く感じられるようになったと思います。このように客観的な視点を持ち、ひとつずつ課題をクリアにしてプランニングに落とし込んでいきました。

1階ー自由に過ごせるオープンな空間作り

Before

After

瀨野さん:
1階はキッチンとソファ席がある開放的なスペースです。毎週水曜日に開催しているカジュアルなネットワーキングイベント「Snack & Connect」でもここを使用しています。
リニューアルでインテリアの色が統一され、落ち着いたイメージになりました。気になっていたキッチンにはイケアのシンクが入り、ゴミ箱を隠す収納スペースもついてスッキリ。特にソファが気に入っています。ソファの向かい側にも椅子をいれていただいたので、様々な会話が生まれる場所になりました。私自身もちょっとした相談ごとはソファでカジュアルに行っています。ソファのレイアウトが絶妙で会話がしやすい上にラグが敷いてあるため、心からくつろげる雰囲気になったと思います。

IKEA渋谷 平光:
1階のソファ席は、人が集まりやすいように可動性のある家具を選んでいます。みなさんで半円型に座って窓側のスクリーンを見ることができるようになっています。

2階ーバリエーション豊かなセミナールーム・ミーティングルーム

Before

After

瀨野さん:
2階には、セミナールーム1室と、ミーティングルーム4室があります。
それぞれ異なるデザインで個性を持たせてつくられています。
ミーティングルームはソファ席のあるCルームが人気です。カジュアルなミーティングに丁度いいようですね。利用者のみなさんからも、「Cルームが好き」といったお声をよく聞きます。

以前はほぼ使われていなかったセミナールームの利用率も上がり、今ではワークスペースとして大人気の場所になっています。パーテーションが入ったことでほどよい距離感が保たれていて、利用者のみなさんで大変賑わっています。スタッキングチェアで収容人数が増加したのも嬉しいポイントです。セミナー会場として20人ぐらいが上限だったところ、30~40人が入れるようになりました。
以前は、大人数の会議や視察時には1階を丸ごと使用していました。今はセミナールーム1室で収容できるため、1階を占有せず他の利用者さんにお使いいただけます。

IKEA渋谷 平光:
2階は階段から緑が繋がるように配置しています。「利用者数が少ない」ことや、「まったく使われない部屋がある」ことを課題として伺っていたため、どの席も使っていただけるように工夫しています。
ミーティングルームにはそれぞれ個性を持たせ選ぶ楽しみを。さらにウォールラックで飾り棚を入れて、遊び心を加えました。

2階ー廊下を活用した集中できる個人席

2階廊下 Before

2階廊下 After

瀨野さん:
各所にグリーンが入り、暗かった廊下がとても明るくなりました。廊下のデスクに吸音スクリーンがついたので、集中しやすいようです。とくに驚いたのはデッドスペースになっていた冷蔵庫横のエリア。半個室のような雰囲気に生まれ変わり、一番人気の場所になりました(笑)。

IKEA渋谷 平光:
もともと長机が並んでいたところに、オンライン会議でも使いやすいパーソナルな空間をつくりました。吸音スクリーンを入れ、ハイバックのチェアを選んで個室感をプラス。冷蔵庫横のデッドスペースはパーソナルチェアを入れてくつろげる雰囲気にしました。

ルーフトップー青空が広がる交流スペース

ルーフトップ Before

ルーフトップ After

瀨野さん:
活用されていなかったルーフトップも、みなさんがランチをする風景が見られるようになりました。イベントでも使いやすくなり、つい先日も交流会を開催したばかりです。涼しく開放的な屋上で、夕方から夜にかけて心地良い時間を過ごすことができます。

IKEA渋谷 平光:
ルーフトップもエリアごとにゾーニングしたので、リラックスできる場所、テーブル席、ちょっと座れるベンチ席…と、用途によって使い分けていただけます。線路が近いこともあり、安全性に配慮して、風で飛ばされない重さのある家具を選定しています。

「ただいま」と帰ってきたくなる場所—理想の拠点が完成

瀨野さん:
以前とはまったく違う雰囲気の空間になって、驚くほど利用者数が増えました。
人数だけではなく、利用者のみなさんはもちろん、スタッフ同士のコミュニケーションが取りやすくなったことも嬉しいポイントです。リニューアルのプロセスでは、拠点全体をクローズしないように順を追って進めていただいたので、イケアのみなさんは大変だったかと思います(笑)。
私たちだけでは、「ミーティングルームごとに雰囲気を変える」という発想は出なかったと思いますし、荷物を掛けるフックをつけるなど、細かいところまで気を配っていただいたからこそ、使い勝手が良くなり、みなさんが集いたくなる心地のよい場所になったのだと思います。

この拠点は「人と人がつながれる場所」として、コミュニティづくりをとても重視していて、利用者同士はもちろん、スタッフ同士、スタッフと利用者の会話も大切にしています。実は、IKEA for Businessも利用者の方から勧めていただいたのです。
理想は「単なるコワーキングスペース」ではなく、「ただいま!と帰ってきたくなる場所」です。特に海外から一人で来日されている起業家の方にとって、常に頼れる居場所であるよう心がけています。

イケアが私たちの意図を汲んで、まるで家のような温かな雰囲気を形つくってくれました。初めて提案書をいただいたとき、スタッフたちと共に「このスペースがこんなに素敵になっちゃうの?」と喜び合ったあの感動は今でも忘れません。
リニューアル前は「とにかくみんなに来て欲しい」という切実な思いがありました。来ていただければ、コミュニケーションを取って困りごとや進捗をキャッチアップすることができ、しっかりサポートすることができますから。
利用者のみなさんが、困ったときも、嬉しいときも、特に何もないときも「帰ってきたくなる家のような場所」であることが私の理想です。リニューアルの効果で利用者数が劇的に増加し、今では席が足りなくなる日もあるほど。日々「みんなの帰ってくる場所」になった喜びを実感しています。

DATA

施設名・所在地:
「Shibuya Startup Support」拠点 〒150-0011 東京都渋谷区東1丁目29-3 渋谷ブリッジ
導入年月:2025年5月
導入に要した期間:約10カ月
IKEA for Business を選んだ理由:デザイン、プランニング力
担当したイケアストア:IKEA渋谷
使用したイケアのサービス:ビジネスインテリアデザインサービス、配送サービス、組立てサービス

※使用されている商品は記事掲載当時のものであり、販売が終了している商品が含まれる場合があります。