かつてない困難な時期の家での暮らし – パート1:変化
人々にとって家がどんな意味を持つのかということに、イケアはつねに興味があります。そのため、2020年に新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が始まってから数カ月のころに、制限されたスペース内で人々がどのように生活や仕事をしたり、スペースを共有したりするのかを詳しく調べようと決めました。そして、世界各地の20世帯にコンタクトをとり、考え方や気持ちについて聞きました。
3つのパートからなるイケアの「かつてない困難な時期の家での暮らし」シリーズのパート1では、イケアの2020年の調査に登場した5つの世帯と情報を交換し、今年彼らにもたらされたさまざまな変化について調べました。以下で、AlessioとMargaretaが、かつてない困難な時期をどのように進んできたかをご紹介します。
イケアのLife at Home 2020 レポートを見る。


目覚ましい風景の変化
新型コロナウイルスによって、この島では行楽目的の移動が5マイル(約8キロメートル)以内に制限されました。海で隔てられているため、すでに到着していた滞在者を隔離するには効果的でした。その結果、もともと人がほとんどいなかった場所がさらに今までにないほど人里離れた場所になりました。世界でもっとも人口密度の高い地域から来た家族にとっては特にそれが強く感じられました。
古い場所を新たな視点で見る
Alessioと彼の家族はすぐに順応しました。Alessio自身が、以前には感じなかったアラン島の屋外の景色や自然、美しさを楽しめるようになっていました。生活がひとたび通常に戻り始めたら、彼はスコットランド中の田舎や身近な場所をもっと探索するつもりです。「まだ一度も行ったことのない山がここにはあるんです。いつかぜひ登ってみたいですね」
調整するという課題
もちろん、すべての過程がスムーズではありませんでした。Alessioはフリーランスの映像作家で、2020年の夏の間は仕事を見つけるのが難しいときもありました。「自分自身のことがわかったのは、とても大きなことです」と彼は説明します。「私は忙しくするために苦労するより、自由な時間を持つために苦労する方を選びます。不確実なことは好きではないですね」
数世代を含む世帯での生活に順応すること自体にも、課題はありました。「父は、子どもたちが巣立ったあとの暮らしに慣れていたので、最初は多少のストレスがありました」とAlessio。「でも、それについて話し合いをして、翌朝にはすべて解決しました。私は、踏み込みすぎないことを学ぶ必要もありました」
より近づいた家族とのつながり
親戚との暮らしには多くの利点もあります。「私の娘が実際におじいちゃん、おばあちゃんと時間を過ごすのは初めてなんです」とAlessio。「彼らの関係が深まっていくのを見るのはすばらしいことです。さらに、お互いの子育てのストーリーを語り合うことが、両親と心を通わせるのに役立ちました。これまで聞いたことのない私自身の子どものころのことを話してくれます」。
家族とより近い関係になれたことは、このコロナ危機の期間で多くの人が得た利点です。イケアのLife at Home調査の参加者に、12の活動のなかから将来さらに続けたいものを選んでもらったところ、家族と過ごす時間を増やしたいという答えがトップにあがりました。
おそらく、Alessioは間違いなくその望みをかなえられる一人でしょう。「私の妻と私の兄弟の妻はどちらも“コロナベイビー”を期待しているんです」と彼は言います。「そうなると、私たち一家に影響をもたらす要因がまた変化するでしょう。でも、ここにいる全員でそれを受け止めて、お互いに支え合っていきます」
安全で安らげる場所としての家
最初は、彼女が息子たちと暮らしているベッドルーム2つの小さなアパートメントを、安らげる場所として見ていました。このように感じたのは、彼女だけではありません。イケアが調査した人々のうち78%が、外出制限中に自宅が安らげる場所だったと答えています。
捕らわれている感覚
イタリアでは、夏の間新型コロナウイルス対策を緩和したにもかかわらず、秋になるとMargaretaは捕らわれているように感じ始めました。「私にとっていちばん恋しいものは、自由だと思います」とMargareta。「自分がやりたいことを、やりたいときに、やりたい場所ですること。普通の日常に本当に戻りたいです」
共有スペースの問題
3月以来キッチンで仕事をしているMargaretaにとってスペースは明らかに問題でした。理想的なスペースではない:「あるときのこと。私がビデオ通話をしているというのに、息子たちはそれに気付きませんでした。そして息子は下着姿で私の後ろを横切ったんです!フルーツ柄のユニークな下着で……」そう言ってMargaretaは笑います。
家の模様替えをする
イケアが調査した人々の5人に2人が、2020年に家の模様替えをすることを決めたと答えています。最近、Margaretaがこの先少なくとも6カ月以内に職場に戻ることはないと知ったとき、このタイミングで家の模様替えをしようと決めました。彼女は新しいデスクを買ってベッドルームに置きました。これなら、必要だったプライバシーを確保できます。でも、仕事をする場所で寝なければいけないことについては?その点に関して、彼女は冷静です:「私はあまり気になりません。ほかに選択肢がありますか?とにかくワークスペースをキッチンから出したかったんです」
家の外の生活が恋しい
Margaretaを取り囲む4方の壁の外の世界はいまだにノーマルからほど遠いまま。それでも、閉所恐怖症のような感覚を取り去るには役立ちません。彼女は、申し込んだ指圧コースを取りやめなければなりませんでした。なぜなら、規則の変更によって12時間のトレーニング中ずっとマスクを着けなければならかったからです。それは彼女にとって耐えられないことだと言います。
何よりも、彼女が恋しく思っているのは大勢の中で踊ることです。「ダンスは、私たち人間にとって本当に大切なものだと思います。先史時代でさえ、人間は踊っていたんですよ。みんなで一緒に体を動かすことが許されないなんておかしいです。家の中でも踊れるけれど、みんなと踊るのとは違います」
自然に対する渇望
イケアの最初のLife at Home 動向レポートのためにMargaretaと情報交換をしたとき、彼女はバルコニーをミニ菜園につくり変えようとしていました。でも、2020年の終わりに、彼女はもっと思い切った行動を考えていました。この時期に安全で安らげる場所として自然を楽しむことを思い描いていたのです。「本当にここから出たいです。街からずっと遠く離れたどこかへ。小さな家がいいですね。室内スペースはそれほど広くなくても、庭は必要です」
悲しいことに、近いうちにこれを実現させることはできないでしょう。イタリアで新しい家に引っ越すのはとても難しくてお金がかかると彼女は言います。さらに、彼女の息子たちは学校や仕事のためにミラノで暮らす必要があります。「だから、今は何も予定はありません」とMargaretaは寂しげに言います。「山に行くことだけ。できるだけたくさん行く計画を立てます」
まとめ
2020年は、私たちの多くが家との関係性を見直すことを余儀なくされました。イケアのLife at Homeレポートのために調査した人々の約半数は、Margaretaと同様に、よりよい住まいのために職場から遠い場所に引っ越すことを検討するつもりだと答えました。
でも、よりよい住まいとはどんな家でしょう?この質問への答えも、変化してきているように思われます。人々が手に入れたいと願うものは、もはやより広いベッドルームではありません。将来の家にとって、自然へのアクセスは重要な優先事項になってきました。Alessioのケースのように、アラン島の自然美に対する愛の再発見は、新型コロナウイルスの流行下でのみ見つけられたものです。
次のパートへ進む
イケアの「かつてない困難な時期の家での暮らし」シリーズのパート2では、イタリアのIleniaとオーストラリアのShayに話を聞きました。彼女たちは、2020年に家族や友人とつながるために、家を異なる方法で役立てていました。
イケアのLife at Homeが見られるほかの場所
- 新型コロナウイルスの流行中にイケアが投稿したストーリーや調査については、Life at Homeブログをご覧ください。
- イケアのLife at Home 動向レポート #1(英語版)と動向レポート #2(英語版)では、世界的パンデミックの最初の数カ月の状況について考察し、2020年中にインタビューを行った20家族に焦点を当てています。
- イケアの「Life at Home レポート 2020:ビッグホームリブート」では、これまでにない年に私たちと家の関係がどのように変化したかを明らかにしています。
- 動画「IKEA Life at Home 2020:An Expert Perspective(専門家の見解)」では、Life at Homeに関連する分野の重要な専門家の見解をお伝えします。
- イケアの2020年の調査で、人々は自然を室内に取り入れることによって、安らげる部屋をつくったり、家の中の調和をとったりするのに役立ったと感じていることがわかりました。そこで、私たちはそれに応えてIKEA Virtual Greenhouseを始めました。