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子どもも、大人も、職員も 来るのが楽しみになる明るい施設を

丸森町保健センター(IKEA仙台)

台風被害の復興支援に、公共施設をコーディネート

2019年10月、日本各地で猛威を振るった台風19号は、東日本を中心に深い爪痕を残しました。
特に甚大な被害を受けたのが、宮城県の南端に位置する伊具郡丸森町。豪雨と堤防の決壊により町内のいたるところが冠水し、住宅街に土砂や流木が流れ込むなど、家屋の被害は全壊・半壊・一部損壊を合わせて1000軒以上。さらに、地域の人々が利用する公共施設にも大きなダメージを与えました。

東日本大震災をはじめ、災害の支援活動を行ってきたIKEA仙台では、丸森町の深刻な被害状況を受けて支援プロジェクトをスタート。「丸森町保健センター」への家具支援と空間コーディネートを行いました。

台風19号の襲来で被害を受けた「丸森町保健センター」の周辺。施設の一階部分は床上10~15㎝が水に浸かるなど大きな被害を受けました。
写真左の白い建物が「丸森町保健センター」。

施設があるのは、近くに町役場も位置する丸森町の中心部。台風19号では一帯が水に浸かるなど、甚大な被害を受けました。

「丸森町保健センター」は、乳児健診や赤ちゃん相談、3歳児健診の実施を主に、成人のがん検診や病気の予防教室、団体研修など、地域の人々の生活と健康を支える施設。しかし、昨年の台風19号で床上浸水の被害を受け、施設内の家具が使用不可能に。乳児健診で医師が使用していた木製デスクにはカビが生え、待ち時間に子どもたちが遊んでいたおもちゃや絵本も使えない状態となってしまったのです。

「台風被害から6ヶ月近くは、なかなか改修工事も始められない状況でした。センターの機能は他の場所に移していましたが、ダメになった家具を新調する予算も厳しく、施設再開の具体的な目途は立っておりませんでした」と、丸森町保健福祉課健康支援班班長の大槻文子さんと、同保健予防班班長の菊地和美さんは振り返ります。

自然と元気が湧いてくる明るい施設にイメージチェンジ

コーディネート前(左)と後(右)の待合室。直射日光が当たっていた天窓にイケアの布地を使用した天蓋を付け、光の躍動感も楽しめる空間に。
新型コロナウイルスの感染対策として、拭きやすい素材のソファを選び、ソーシャルディスタンスを保ちながらコミュニケーションが取れるようイスを配置

プロジェクトが始まった当時は、「使えなくなってしまった家具やおもちゃ、絵本を支援していただけるという認識でした」と大槻さん。
しかし、被害内容や施設の利用状況についてヒアリングする中で、「診察に来られる先生の待機場所がない」という悩みや、「職員のミーティングテーブルがあると助かります」といった要望などが上がりました。それを受け、プロジェクトは、家具のサポートだけでなく、乳児健診で使われる内科・歯科の診察室、事務室、さらに待合室のコーディネートへと発展しました。

「望んでいた以上の支援に感謝しています!」とうれしい言葉をくださった、丸森町保健福祉課健康支援班班長の大槻文子さん(左)と、同保健予防班班長の菊地和美さん(右)

IKEA for Bisinessでも個人や企業のインテリアプランニングを担当している田辺。
「普段はプランニングをして商品をお渡しするまでの業務なので、実際に設置まで見届けられることが楽しいです」。

プランナーの田辺は、今回のプランニングについて「地域のお子さんと親御さんが集まる健診の待合室は、子どもたちにとってコミュニティの始まりのような場所。
だからこそ、待ち時間も楽しく過ごせる場所をつくりたいと思いました。それに、子どもにとって健診は『何をされるのだろう…』と不安なものですよね。この場所が“怖い・痛い”という印象にならないよう、シンプルになりがちな診察室のイメージを変えて、明るい空間にしました」と言います。

内科・歯科の診察室には、医師が使うデスクやコンパクトな洗面台、キャビネットを設置。使い勝手の良さを一番に考えながら、カーテンは気持ちが明るくなるようなテキスタイルを選びました。

以前はイスが整然と並んでいただけの待合室は、天窓に付けたテキスタイルの天蓋や、ゆったりくつろげるソファ、身長計としても使えるウォールステッカーにより、やわらかな日が差し込む温かい空間に。「殺風景だった待合室が、イケアの楽しいモチーフや明るい色づかいでステキになりました」と菊地さんも笑顔。

明るくかわいい待合室で、健診前の子どもたちもリラックス

また、大槻さんのお気に入りである事務室のソファスペースは、主に診察に訪れた医師の休憩スペースとして使われる場所。
同じ部屋にスタッフ用のミーティングテーブルもありますが、オープンラックをパーテーションにすることで、休憩している医師のプライベートを確保しながら、スタッフと医師が交流できる開放的な間取りになりました。

使えなくなった家具を運び出し、床と壁の工事を終えた事務室(左)と、生まれ変わった室内(右)。診察室から近い場所に医師の休憩スペースをつくりソファを配置。事務室の空間全体をグリーンで統一しました

「仕事場ではありますが、くつろげる空間にしたいと考えました。お子さんも大人も職員も、来るのが楽しみになる施設にしたかったです」と田辺。

以前は書棚で隠れてしまっていた事務室の窓には、ターコイズグリーンが鮮やかなカーテンを取り付け、丸みのある大きなミーティングテーブルを置いて柔らかい印象に。キッチンのシンクや下部のキャビネットは、清潔感があり使い勝手も良く生まれ変わりました。大きく変わったこの空間に、職員の方も大喜び。

職員のワークスペースには、木の風合いが優しいミーティングテーブルを。
鮮やかなグリーンのカーテンを取り付け、職員の皆さんが生き生きと働ける快適空間にしました。ソファスペースとスタッフルームの間に、パーテーションと収納の役割を担うオープンラックを置いて。

実は、今回のプロジェクトで苦労したのが壁。浸水してしまった部分の壁紙のみを張り替えたため、修復工事後は壁紙の色の違いが目立つように。
そのため、「待合室にはウォールステッカーを貼り、事務室には壁掛けのグリーンやアートパネルを飾ったり、背の高い観葉植物を置いたりして、壁に視線が向かないよう工夫しました」と田辺。大槻さん、菊地さんも「植物や照明の使い方など、私たちには思いつかない発想ばかりで、さすがインテリアのプロだと感動しました」と喜んでくださいました。

事務室の一角にある給湯スペースは、シンクもキャビネットも一新し、木製のワークトップを備えた清潔感のあるキッチンに。機能性を考えた収納棚、壁の印象を変えるアートフレームやグリーンもポイント

スタッフの「心の財産」が増えていく地域支援活動

新型コロナウイルスの感染リスクに配慮して、組み立て業者の方と共に最小限の人数と日数で作業を行いました。
空間がどんどん変わっていく過程に、スタッフも大興奮!

今回のプロジェクトは、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、通常より少ない人数での作業となりました。2日間に渡った組み立て作業は、業者の協力を得ながら各日4名のコワーカーが参加。
人数は最小限に抑えながらも、施設を利用される方や職員の皆さんに愛される空間にすべく、情熱を持って実行しました。「IKEA Family子ども募金への参加は、イケアのコワーカーにとってやりがいのある大切な活動。この経験が私たちの財産になっています」(田辺)。

「丸森町保健センター」は、年間平均で約300名の乳幼児を含む約7800名が利用しています。子どもたちの健やかな成長や、地域住民の健康サポートの一助になれたことは、私たちにとっても喜びです。完成した施設を見た地域の方が「明るくなって素敵な場所になったね」と言ってくれたと聞き、地域の方々に受け入れてもらえたことをうれしく感じています。

乳児健診から3歳児健診まで、たくさんの子どもたちが利用する「丸森町保健センター」。

イケアでは、現場に直接来られないコワーカーも、商品の手配や搬出などでプロジェクトをサポートしています。これからも地域の皆さんのお役に立てる活動を続けていきますので、今後の取り組みにもご期待ください。

最終的な仕上げを行って、この日、施設での健診が再開。プロジェクトに関わったスタッフのメッセージ入りダーラナホースを贈って、施設の皆さんと記念撮影。職員の方々、地域の皆さんに長く親しんでもらえますように!