制定15周年を迎えた「やっぱり家の日」(8月1日) イケア、産官学連携で未来の「家での平等」を考える第2回「Life at Home 2050」シンポジウムを開催。

イケア・ジャパン初の絵本を発表、読み聞かせワークショップも実施。
また共創宣言を実現する対話ツールとして、イケア・ジャパンは初めて絵本を制作。産官学それぞれの視点を持つゲストを迎え、絵本ストーリーにもつながる「家からはじまる小さな気づきとボーダレスな対話がよりよい未来につながる」をテーマにボーダレスな対話や学び、「あたりまえ」からの解放について語り合うパネルセッションを行いました。午後には、IKEA Familyメンバーを対象にした同絵本を使用した読み聞かせやワークショップを実施しました。
第一部:「Life at Home 2050:第2回『やっぱり家の日』シンポジウム~家での“あたりまえ”をほどくボーダレスな対話~」
今年で15周年を迎える8月1日「やっぱり家の日」に際して、イベントの冒頭では記念の動画が公開されました。
「この家が好き。」動画URL:https://youtu.be/zw8H6xIfpcc
そして、イケア・ジャパン 代表取締役社長 兼 Chief Sustainability Officerペトラ・ファーレの「イケアは日々の家での暮らしに関して平等という価値観を反映しています。より多くの方々がそれぞれの家で小さな変化を起こすことで社会全体を変える大きな力になると信じています。だからこそ平等は家庭から始まると伝えています。平等や公平という価値観や経験は家での中に根差しているからです。社会の中にある大きな壁を私たちだけで乗り越えることはできません。しかしみなさんと一緒に力を合わせれば日本に暮らすより多くの方々にとってより平等で多様性に満ちたインクルーシブな社会へと変えていくことができると信じています」とのコメントから始まった本シンポジウム。
その一環として産官学協働で、未来を見据えて「家での平等」を考え、その未来を実現するためのアクションを起こすため昨年発足した「Life at Home 2050」プロジェクト。
発足からちょうど1年となる同日、プロジェクト担当のイケア・ジャパン Communication Business Partner大谷陽子から2025年度の取り組みの振り返りとして毎年イケアが世界の人々を対象に実施している「家での暮らし」に関する調査Life at Home Reportの中の家での家事分担に関する調査結果やIKEA横浜が独自調査したキッチンでの家事分担について公開しました。
キッチンでの家事分担している人の分担方法
・お互いの役割を話し合って決めている - 96%
・家事の負担を見て、柔軟に調整している - 33%
・お互いの忙しさや都合で決めている - 17%
キッチンでの家事分担していない人の分担しない理由
・家事は自然に分担されているので特に決めていない - 70%
・忙しくて話し合う時間がない - 21%
・家事分担していないことに特に問題を感じていない - 18%
※出典:FY25 IKEA横浜による家での暮らしとサステナビリティに関する調査
大谷は調査結果について次のように述べています。
「IKEA横浜での調査によるとキッチンで家事分担している人の96%が『お互いの役割を話し合って決めている』と回答したが、反対に分担していない人々の多くは『自然に決まっている』または『忙しくて話す時間がない』と答えており、このことから日常の中の“ちょっとした対話”が、家の中の平等のカギになっていると考えました」
さらにプロジェクトの立ち上げ以降も、参画企業・団体の皆さまとワークショップを実施しプロジェクトの目的や方向性の話し合いを重ねた結果、「対話の重要性」に着目し、共創宣言「ボーダレスな対話と学びほぐしを通して、暮らしの『あたりまえ』を解放します」の決定をイベント内で発表しました。
そして共創宣言を実現する一つのツールとして、イケア・ジャパンが初めて制作した絵本「たびする家(いえ)」※を公開しました。大谷は絵本を通して、「『自分らしい家での暮らしとは』を問いかけ、子どもたちには“大切なこと、好きなこと”を思い描く体験を、大人たちは“あたりまえ”を見直すきっかけを届けられたらと思います。そして、ボーダレスな対話を促すツールとして、今日ここから全国へと広げていきます」とイケア・ジャパンの新しい取り組みとなった絵本について語りました。
※絵本制作の詳細についてはこちらからご覧ください。
さらに昨年のシンポジウムに続き、男女共同参画、仕事と育児の両立など、多方面に知見の深い、東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授 治部れんげ氏をモデレーターに招き、UN Women(国連女性機関)日本事務所長 焼家 直絵氏、認定NPO法人フローレンス こども冒険バンク事業部長 前田晃平氏といった家での暮らしの平等を考える上で産官学それぞれの視点を持つゲスト「家からはじまる小さな気づきとボーダレスな対話が未来を変える」と題したパネルセッションが行われました。
次に焼家氏は、国内外における家庭内での平等について国際比較の視点やご自身の海外経験を踏まえて次のように述べています。
「家庭での平等と職場での平等は非常に関連していると思います。世界でも日本でも家事・育児分担についてはジェンダーギャップが残っているのが現状です。家庭のケア労働負担の男女平等を職場と家庭の両方で推進することが女性の真のエンパワーメントに不可欠です。
今回のように、家の中からのアプローチに焦点をあてたイケアの取り組みは素晴らしいと思います。
私は海外経験が長いのですが、国連で女性の幹部職員の家庭状況を聞いた際に男性が仕事を辞めて家事をするということが珍しくないことに驚き、自分自身にも固定観念があることに気づきました。自分で自分にかけてしまいがちな呪縛から解放されるというのも重要で、性別に関係なく個人が輝けるように選択肢が増えればいいなと思います」
治部氏は「社会で見えている雰囲気と企業の大きさやフリーランスでは定義が違うので、全体と個別とで見ることが重要だと考えます。あたりまえをどう変えるかというのは政府の政策にも大きな影響があり、現在第5次男女共同参画基本計画が動いているのですが、その中の第10分野に『教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進(無意識のバイアスを変える)』があります。焼家氏が述べた通り子どもの認識にどう影響を与えるかという点が記載されているので、今回絵本というのは重要なツールであるなと感じます」と述べました。
最後に治部氏は「今日のお話は家の中での話でしたが、家での平等を考える上では外のことともつながっていること、そして職場での女性のありようが変わると家族内も変わる、またそのような関係性をみて育つ子どもたちにも大きな影響があるでしょう」としてパネルセッションを締めくくりました。
第二部:IKEA Familyメンバー対象、絵本「たびする家(いえ)」ワークショップ
第二部では、IKEA Familyメンバーを対象に、発表されたばかりの絵本を使用したワークショップが行われました。イケアコワーカー(従業員)が絵本の読み聞かせを行い、参加者らは、絵本の最終ページにあるワークシートを使いながら、25年後となる2050年の「未来の自分らしい家での暮らし」を想像して自由に描き、親子や周りの子どもたちと対話していただきました。大切な人と一緒に、一人ひとりの大切なことを尊重できる家での暮らしを実現するために、まずはそれぞれが理想の暮らしをアウトプットして、対話につなげることを目的とした体験型のプログラムです。
子どもたちが自由な発想で描いた未来の暮らしには、家の中に海の生物がいたり、ロボットや恐竜がいたりと、好きなことがたくさん詰め込まれており、それをもとに対話をした保護者の方々も、「頑張ることを忘れずに、自分の好きなものに囲まれて暮らしてほしい」「好きな場所で好きなことを思いっきりやれるように願っている」などといったメッセージを子どもたちに届けてくれました。実際に周りの人と共有するコミュニケーションを通じて、それぞれがよりよい「家での暮らし」を考える機会となりました。
イケアではこれからも、一人ひとりが「この家が好き」と感じられる瞬間をもっと増やしていただけるよう、よりよい暮らしを提案していきます。
また、「家での平等」という複雑かつ重要な課題に対しては、あらゆるステークホルダーとの包括的な協働を通じて、家の中から変化を生み出し社会へのインパクトをもたらすべく、「Life at Home 2050」の取り組みを推進していきたいと考えています。