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オフィスデザイン・レイアウト事例集:京都・醍醐寺 寺務所

京都・醍醐寺 寺務所(京都府京都市)

京都・醍醐寺の寺務所を機能的で快適な空間へとリニューアル

京都市街の南東に広がる醍醐山にあり、平安時代初期に創建された醍醐寺は、数多くの国宝、重要文化財を所蔵し世界遺産にも登録されています。2016年、イケアは境内にあるカフェをプロデュースさせていただきましたが、今回、また新たに寺務所1階部分のリニューアルをプロデュースさせていただくことになりました 。

環境と同時に、業務のあり方も変える

「昭和の時代に建てられた寺務所建物の1階部分は、かなり煩雑なスペースとなってしまい、空間的にも圧迫されるイメージがあった」と話す、プロジェクト・リーダーの醍醐寺統括本部長・仲田順英さんは、以前、宗教文化交流のためスイスのジュネーブに住んでいた時にイケアの家具を使っていたといいます。イケアのサステナブルな企業理念に共感し、前回、カフェのリニューアルをイケアに任せていただきました。

寺務所とは、一般の企業でいうと事務所に当たるところ。醍醐寺のスタッフや僧侶の皆さんが、事務仕事や作業をしたり、来客の対応をするスペースです。リニューアルのテーマについてうかがうと、「お客様を気持ちよくお迎えできて、気持ちよく対応できる空間にしたい」と同時に「スタッフ一人ひとりが過ごしやすく、機能的で使いやすい空間にしたい」とも。つまり、リニューアルはハード面だけに留まらず、業務のあり方そのものを変えてしまうという試みでもありました。

厳かな日本建築である寺務所を訪れた人は、中に入って一転、モダンな空間を見て一様に驚かれるそうです。
来訪者と打ち合わせなどをする応接スペースは、シンプルで広々とした空間に仕上がりました。
広い天板のダイニングテーブルと、座面の高さを調節できるスツールが設置された作業スペースでは、効率が格段に上がったといいます。

フリーアドレス・システムの導入

誰もが使えるフリーアドレス席の後ろには、壁一面に収納キャビネットを設置。マガジンファイルや収納ボックスがジャストサイズで組み込まれており、必要な書類にスピーディにアクセスできるようになりました。

その答えのひとつが、個人のデスクを持たない「フリーアドレス・システム」を導入することでした。一般の企業と違い、寺の業務は土曜、日曜が休みということはなく年中無休で、常に同じスタッフが事務所にいるということはありません。そのため、情報やデータを共有できるよう書類などを整理し、誰でもアクセスできる収納アイデアが必要となりました。仲田さん本人は使いたいものは周りに置いておきたいタイプで、この仕組みにすることには躊躇したといいます。が、「環境を変えることで皆さんも変わってください」という、仲田さん自身も含めたスタッフ全員へのメッセージでもありました。「最初はみんなに反対されると思っていましたが、意外にすんなりと納得してくれた」とその時の様子を振り返ります。空間全体の構成については、仲田さんが図面を描きスタッフ全員に確認しながら進めました。できあがったイメージラフをイケアの担当者が受け取り、具体的なコーディネートの作業が始まったのです。

今回、リニューアルの対応をしたIKEA鶴浜の竹内 圭さんは、「一番のポイントは、スペースを広く使ったオープンな環境にしながら、どこに何があるかを明確にすること。そこで、情報を一括管理するため、壁面全体に収納キャビネットを設置し部署ごとに書類や備品のスペースを割り振った」と話します。

できあがった空間は、ホワイトとナチュラルな色調の落ち着いた空間。各スペースの空間が間伸びしないように、それぞれ素材感を違えたイメージにしました。日によって、時間によって変化する空間では、その時の気分によって使いたくなる場所が違ってくるといいます。

寺務所を入ったすぐにあるフリースペースは、まるでカフェのようで、入りやすく過ごしやすい空間になっています。キャビネットに置かれたパンフレットやフリーマガジンをここでじっくり読む一般客も多いといいます。
役員・課長席に設置されたテーブルはダイニングテーブルで、広く使える天板が好評なんだそう。

これまでの当たり前がそうではなくなる

寺務所は30名くらいで使用しているそうですが、コロナ禍という状況にあり、テレワークの導入や休業要請、時短勤務などへも対応が必要と考え、パソコンの使い方も考え直し、セキュリティ強化を図り、誰もがいつでもどのパソコンでも使える環境への整備も行っています。

リニューアルするまでは、日常の忙しさもあり、物が乱雑に置かれていた状態で、目的のものを探すだけで時間がかかっていました。今では、そういうことがなく効率的になり、会議もペーパーレスで開催できるようになりました。「紙の書類が実はそれほど必要でなかったことがよく分かった」と仲田さんは笑います。仕事が終わったら元の状態に戻すということがスタッフ全員の約束で、誰もが好きなスペースで仕事ができるようになりました。どこにいても人の顔がよく見え、声もよく聞こえるようになり、言葉の使い方も変わったそうです。

現在、醍醐寺ではクラウドの導入を計画しており、この機会に大規模なIT化を進めています。

「お寺では初の試みかもしれませんが、千年以上も続く醍醐寺の歴史のなかにあって、これまでやってきたことが当たり前ではないと思うことが大事」。今回のリニューアル後、「うちで働きたいという学生さんが、現れたのが一番嬉しい驚きでした」と、最後に笑顔で語っていただいたのが印象的でした。

ブラックの一人がけソファとブラウンのコーヒーテーブルで構成された来賓室は、洗練されたイメージで落ち着いた空間が広がります。

DATA

施設名:醍醐寺
所在地:京都府京都市伏見区醍醐東大路町22
HP:https://www.daigoji.or.jp/
導入年月:2021年1月
導入に要した期間:約3ヶ月
担当したイケアストア:IKEA鶴浜
使用したイケアのサービス:ビジネスインテリアデザインサービスおまかせ配送サービス家具組み立てサービス