カフェデザイン・レストラン事例集:JIROʼS DELI
IKEA for Business VOL.24
ナチュラルでモダン、 たくさんの笑顔が集まる居心地のよいレストランを目指して
無垢のテーブルはNORDEN/ノールデン、チェアはNORDMYRA/ノールドミーラ、
バースツールはJANINGE/ヤニンゲ。
島根県益田市に、年間約6,000名もの卒業生を出す、日本で初めて合宿制を取り入れた自動車学校があります。Mランド・益田ドライビングスクールです。今回ご紹介する「JIROʼS DELI」は、この自動車学校内にあるカフェレストランです。
この施設のプロデュースを担当したのは、東京に事務所を構えるLUCKY Fountain有限会社の佐座靖子さん。日本各地の多岐に渡る店舗プロデュースを行っています。「クライアントから求められる予算やイメージを実現する」という役割と、「建築・厨房関連業者の資材調達についてアドバイスする」という2つの立場で関わった佐座さんに、「JIROʼS DELI」オープンまでの経緯をおうかがいしました。
カフェレストランをイケアの家具でまるごとプロデュース
手前、白のテーブルはMELLTORP/メルトルプ 、チェアはJANINGE/ヤニンゲ、奥のテーブルは、BILLSTA/ビルスタ、チェアはSVENBERTIL/スヴェンベルティル。
今回、佐座さんのオフィスにもっとも近い店舗であるIKEA立川を利用し、家具、照明、カトラリーなどを購入しましたが、まずは、クライアント、業者さんにサンプルを見てもらうという作業をしました。
「実際見てもらうと、誰もが“ああ、いいね”と言ってくれる。たとえデザインのプロでなくても わかる、イケアの家具にはそんな力があるんですよね」
佐座さんご自身は、プライベートでもイケアによく通っているという、大のイケアファンだそう。IKEA FAMILYの会員ではありましたが、IKEA BUSINESSは利用したことがなく、この機会に入会をしました。
「短期間でレイアウトプランを出してくださるのは、たいへん助かりました。イケアの家具はデザインに一貫した哲学があるので、プロデューサーとしてはイメージを作りやすいという利点があります。予算も一般的な店舗家具よりもだいぶ抑えることができ、とてもありがたいですね」
佐座さんが、プロデュースの依頼を受けたのは、2016年2月。プレオープンは5月、グランドオープンは6月と決まっており、あまり猶予はありませんでした。当初は家具の提案までする予定ではありませんでしたが、店のテーマである「カジュアルなカフェレストラン」に適した家具選びが難航している様子を見て、イケアの家具で店を作ることを提案したそうです。佐座さんは、これまでもイケアの家具を使った店舗プロデュースを何件か手がけていて、商品知識は豊富です。
「モダンさとナチュラルさを兼ね備えたイケアの家具は、今回の案件にはぴったりだと直感しました。とはいえ、島根の近隣にはイケアはなく、クライアントも建築業者もイケアのイメージや家具をまったく知らない状況でした。最初はみなさん少し不安そうでしたね」
左側が厨房とサービスのスペース、右がカフェレストランスペース。窓が広く、心地よい空間になっている。
照明でさらに大きくイメージが変わった
今回、一番苦労し、また一番やりがいが大きかったのが照明の設置だったそう。
「広いスペースなので、エリアごとに違う照明をつけたいと思っていました。私のイメージを電気関係の業者さんに伝えた当初、イケアの照明機器の価格が、日本の大手メーカーのものよりも驚くほど安いため、商品のクオリティーを心配している様子でした」
そこで佐座さんは、導入希望の照明機器を1点ずつ購入して、実物を手にとって検討してもらうというプロセスを踏みました。
「その結果、もちろん安心していただき、店舗のダウンライト以外、すべての照明はイケアの商品になりました」
STOCKHOLM/ストックホルムのペンダントライト。コーナーごとに照明機器を変えたことで、広い空間に変化が生まれた。
柔らかな光が空間を変えるペンダントライトは、KRUSNING/クルースニングのランプシェード。
最初は「どんな空間になるのか」不安に思っていた業者さんやスタッフも、次第に佐座さんのイメージを全面的に信用し、一丸となって空間作りをしてくれたそうです。
「特に照明が入った時、空間のムードが大きく変わりましたね。多分ほかの照明器具では、この雰囲気は出なかったと思います」
買い足しを視野に入れ、カトラリーは定番を購入
トレイはFUNGERA/フンゲラ、カトラリー類はすべて、定番のDRAGON/ドラゴーンを採用。
レストランの席数は170席。テーブルや椅子もかなりの数になりましたが、最も多数購入したのはカトラリーです。他メーカーのカタログ数冊と比較検討し、デザインが店舗イメージに合っていること、圧倒的に安いことから導入が決まりました。シーンを選ばず使え、耐久性に優れたステレススチールのカトラリーと、シンプルで使用範囲の広いトレイを購入しました。
「定番商品を購入しましたので、今後買い足す際にも、同じものをそろえられるという安心感があります」
購入数があまりに多かったため、IKEA BUSINESSの担当者が、全国の店舗の在庫状況を確認し、輸送の手配をしてくれたそうです。
「これもIKEA BUSINESSを利用した利点ですね。私が単独で大量のイケア商品を購入しようとしてもできないでしょうから」
イケア商品のデザインが持つ力
佐座さんは、イケア製品に「デザインの一貫した哲学」を感じることが、大きな魅力だと言います。
「ひとつの商品を作るために、デザイナーがいろいろな試行を重ねていることがよくわかります。だから置くだけで雰囲気が変わる。デザインのプロでなくても、それは感じるものだと思うんです。今回も、イケアのサンプルを見せるたびに、スタッフのモチベーションが上がっていくのです。多くの方が“イケアの店舗に行くだけで楽しい気持ちになる”というのは、そういうデザインの力なのだと思います」
また「よいデザインは、コミュニケーションを生む」と佐座さん。今回のカフェレストランも、「スタッフも楽しく、お客さんも心地よく、地元の自慢になるような店にしたかったのです。イケアの家具は、人と人のコミュニケーションがしやすいように考えられている。家はもちろん、店や公共の施設にもぴったりですよね」
フェイクグリーンやデコレーション用のプレートもイケアで購入。佐座さん自らスタイリングを手がけた。プレートはTILLFÄLLE/ティルフェッレ。
野外のテーブルはASKHOLMEN/アスクホルメン、チェアはTÄRNÖ/テルノーを採用。緑が豊富なので、心地よい。
TORBEN/トルベン スツールは一部DIYでペイントして、アクセントにした。「気軽にDIYできるのもイケア商品の魅力」と佐座さん。
地元産の食材を使った料理を提案
IROʼS DELIは、自動車免許を取るために合宿している人たちの朝、昼、夕飯を提供するほか、レストランとして一般開放もしています。毎食をここで食べる人が飽きないように、そして健康に配慮したメニューのバリエーションが工夫されています。
店長の石橋拓海さん。
店長の石橋拓海さんは、「地元産の食材を取り入れた、野菜たっぷりのメニューが中心です。イケアの家具や照明で作った空間は、ナチュラルでヘルシーなイメージにぴったりだと感じています。デリという言葉も、このような雰囲気のレストランも、地元の人たちはなじみが少なかったので、建築中も興味津々という感じで見られていました。最初は遠慮がちでしたが、次第に浸透してきたかなと思っています。これからが楽しみです」と話してくださいました。
JIROʼS DELI 店舗スタッフのみなさん。
DATA
施設名: JIROʼS DELI
所在地: 島根県益田市安富町3330番地1 益田ドライビングスクール内
HP: http://mland-masuda.jp
業務形態: カフェレストラン、デリ
導入年月: 2016年5月
導入に要した期間: 約2カ月
IKEA for Business を選んだ理由: 商品のデザイン、機能性、イメージ構成のしやすさ、コストパフォーマンス、プランニングの迅速さ、商品のまとまった数の調達と輸送
担当したIKEAストア: IKEA立川
主に使用したイケア商品: ANTILOP/アンティロープ、ASKHOLMEN/アスクホルメン、BILLSTA/ビルスタ、DIETMAR/ディエトマール、DOCKSTA/ドクスタ、DRAGON/ドラゴーン、FUNGERA/フンゲラ、HEMMA/ヘマ、JANINGE/ヤニンゲ、KRUSNING/クルースニング、LISABO/リーサボー、MELLTORP/メルトルプ、NORDEN/ノールデン、NORDMYRA/ノールドミーラ、SVENBERTIL/スヴェンベルティル、TÄRNÖ/テルノー、TILLFÄLLE/ティルフェッレ、TORBEN/トルベンほか
使用したイケアのサービス: IKEA for Businessインテリアプランニングサービス、ピックアップ代行サービス、配送サービス
※使用されている商品は記事掲載時期のもので、販売終了になっている商品が含まれる場合がありますのでご了承ください。